2025年10月13日

タイパの良い構造設計のやり方

 タイパと言う言葉をご存じでしょうか?タイムパフォーマンスの略で日本語にすると「ある物事にかかった時間に対して得られる効果」です。
 Z世代の若者はタイパを意識していると言われています。仕事、構造設計に対して、考えると効率良く設計作業を行うことになるので非常に良いことです。ある建物を構造設計するのにかかる時間が半分になれば、設計事務所であれば2倍の売上となります。
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 タイパの良い構造設計のやり方を考えます。




Z世代の仕事振りから学ぶ


 タイパの良い構造設計を考えるにあたり、まず、タイパを意識すると言われているZ世代の仕事振りを参考にします。
 Z世代とは一般に1996〜2015年生まれで年齢は29歳以下です。構造設計業務の効率には技術力、経験が不可欠ですが、さすがにベテラン社員よりもレベルが高いとは言えません。Z世代の特徴としては以下が言われています。
  • インターネット、スマートフォンが普及した環境で育っているのでデジタル技術に精通している。
  • 個々人の「自分らしさ」を大切にし、多様性を受け入れる。
  • SNSなどのデジタルツールを活用して情報収集するのが日常的である。


この特徴を踏まえて、考えます。

@メール、チャットによるコミュニケーション
 仕事上のコミュニケーションで電話や直接の会話ではなく、メールやチャットを多様する傾向があると思います。直接、話したほうが結論が速く出るとも思いますが相手や自分の作業を止めることなく、コミュニケーションすると言う意味ではタイパが良いのでしょう。
 また、打合せについてもオンライン(teams、Zoom)が多い。同じ社内でも自席でオンラインの打合せをしてる。資料の共有が便利なようだ。私的には同じテーブルで図面を広げ、スケッチしながら打合せをした方が伝わるかと思うが。

A分からないことがあったらネット検索
 仕事で分からないことがあったら、学会指針などを調べるのではなく、まず、ネットで検索してる。さすがにX(旧Twitter)で構造設計に関する情報はない。
 もちろん、ネットの情報には間違っているものも少なくない。しかし、彼ら彼女らもそんなことは知っている。何故なら、その事を学校で習っている世代だからです。私達よりもネットから正しい情報を収集する術を知っているのです。

B何でもツール化する
 構造計算の効率を上げるのにExcelを使い、部分計算などのツール化を多くします。例えば二次部材の検討で荷重拾い部分までツール化するなどです。



本当にタイパの良い構造設計


 さて、このタイパですが、建築設計には欠かすことのできないものです。同じ品質の設計であれば掛かる時間が少ない方が利益が増えるからです。私達にとって、構造設計は仕事、ビジネスです。
 ベテラン構造設計者による本当にタイパの良い構造設計とは以下です。

@より正解に近い断面を仮定できる能力
 説明するでもなく、構造計算は断面を仮定し、応力計算、断面設計を行い、NGであれば補強、余裕がありすぎた場合は断面・配筋を下げる作業を繰返します。この仮定がより正解に近いほど繰返し回数は減り、速く設計が出来ます。
 ではベテランの構造設計者がどのように断面の仮定を行うかと言うと以下によります。
  • まず過去の経験より、この建物(スパン、階数、荷重条件)であれば、この程度のサイズの部材になるだろうとの感覚があります。
  • 断面が変われば剛性が変わり、応力が変わります。断面を変更する時はこれを見越して、断面を考えています。つまり、力学計算、応力計算に対する理解が高いのです。複雑な形状の建物に対しても建物の各部までの影響を即座に判断できます。
  • 断面の仮定ですが、単なる経験による勘ではなく、簡易計算を行い、決めています。


A各種設計基準に精通している
 私達、構造設計者は構造設計を行う上で非常に多くの指針、文献を参考にして判断します。ベテランの構造設計者でも全ての基準、数値を暗記している訳ではなく、指針、文献を開き、確認することがあります。ベテラン構造設計者とそうでない構造設計者の違いは覚えている量、調べたいことが何処に書いてあるかを把握している量が違うのです。よって、この作業にかかる時間も大きく違います。

B意匠、設備設計についての知識もある
 一つの建物を設計するには意匠、構造、設備の設計が関わり、設計段階では多くの調整があります。構造だけを優先しても良い建物にはなりませんし、無理のある意匠計画ではコストが増えてしまいます。ベテラン構造設計者はこのような調整が必要となった時、意匠計画も含めた提案が出来ます。よって、意匠設計者も満足し、設計が円滑に進みます。

 やはり、タイパの良い構造設計をするには経験と確かな知識が必要です。



若手構造設計者がタイパを良くするには


 では経験の少ない若手構造者がタイパを良くするための方法を考えます。

@過去の設計をデータベース化
“より正解に近い断面を仮定できる能力”を補うために自社における構造設計をデータベース化するのはどうでしょう。建物用途、階数、スパン長、スパン数、柱の負担面積、そして、柱・大梁のサイズを紐づけます。これにより、経験の少ない若手構造設計者でも適切な断面仮定に近くになります。
 デジタル技術に精通しているZ世代構造設計者であれば、難しくなく出来るでしょう。

A建築学会指針のウェブ閲覧サービスを利用する。
 2025年8月、日本建築学会が主要指針のウェブ閲覧サービスを開始しました。
https://www.aij.or.jp/websrvbook/orderproducts.html

「近年のオフィス環境の変化やテレワークの普及を踏まえ」との説明がありますが、一番効果があるのはワード検索ができることです。これにより、必要な事項を迅速に探すことが出来ます。

B対面での打合せをしましょう。
 メールも便利ですが、対面で直接、話すほうが絶対的に情報量が多くなります。これにより、お互いの勘違い、打合せ(確認)不足などによる手戻りが減るでしょう。
 また、直接、顔を合わせれば親しくもなれるでしょう。これって、仕事を円滑に進めるために最も必要なものです。





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2025年09月20日

建築構造設計べんりねっとは構造系サイトを応援します!

 建築構造設計べんりねっとの運営を始め、お陰様で22年、もう少しで四半世紀となります。この間、インターネットの状況も大きく変わりました。
 日本のインターネット事情はWindows95が発売された1995年がスタートと言ってよいでしょう。そして、2000年には日本語向けのGoogle検索サービスが始まり、この頃は多くの個人サイトが誕生しました。建築構造設計べんりねっとも2003年にスタートしました。また、この頃に各プロバイダが簡単にネット公開が出来るブログサービスを始め、多くの芸能人もブログを始めました。
 そして、現在はと言うとウエブサイトやブログも少なくなり、YouTubeに移行しました。ウエブサイト、ブログが少なくなった原因としては法人サイトが増え、個人サイトが閲覧されずらい状況となったためです。

 そんな中でも頑張っている建築構造関係の個人サイトを紹介します!




始まりは「構造屋さん修行中」


 個人ウエブサイトが流行っていた2000年頃、建築構造系サイトとして、最も有名だったのが「構造屋さん修行中」と言うホームページです。私が知る限り、このページが一番最初で多くの人を集めていました。私もこのホームページの掲示板(BBS)に書き込みをしていました。
 しかし、残念ながら現在は終了しています。

現在注目の建築構造系サイト


 個人サイトの運営が難しい現在、頑張っている注目のサイトを紹介します。

@あ、どうも。構造計算適合性判定員です。
 メディアプラットフォーム「note」でtorrojaさんにより運営されています。これがサイトのタイトルか分かりませんが、現在、一番のおススメです。
 構造計算適合性判定員であるtorrojaさんが適判審査を通して、構造設計について様々なこと発信しています。面白いし、勉強になるし、最高です。構造設計の実務書はぜひ、読んでほしいです。
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A構造システム・企画室から
 構造システム 企画室の担当者さんが発信しています。こちらも「note」で運営されています。
 私達は日常、構造計算プログラムを使用していますが、メーカーの営業さんと会うことはあっても、企画や開発の担当者さんと話すことがありません。構造設計者にとって、非常に興味深い内容が多いです。

B構造設計者が色々な構造を考える
 構造設計者の人材育成に役に立つ記事を発信しています。週3程度で発信されており、構造設計を始めたばかりの方、また、若手社員の育成に悩んでいる上司の方にも参考になります。
 以前、私の部下が仕事中に「建築構造設計べんりねっと」で調べていたのを見て、ネットじゃなくて学会指針で調べて欲しいと思ったことがありますが、今や、ネットで学ぶのも普通なのでしょう。





今後、個人サイトはどうなるのか?


 ブログを行っていた芸能人などは現在、YouTubeに移行しています。では建築構造設計で継続的にYouTubeチャンネルを継続しているのはさくら構造さんくらいかと思いますが、登録者は3桁です。やはり、ウエブサイトやブログに比べて、動画作成は非常に手間がかかります。
 現在、SNSが発達したと言われますが、インフルエンサーや有名人でないとほぼ見られません。

 そして、ウエブサイトに大きな影響を与えることとして、9月上旬、Google検索のAI検索機能「AIモード」の提供が日本でもスタートしました。
 今までユーザーは知りたいことをキーワードにして、Googleでその情報があるウエブサイトを検索し、閲覧していました。Google検索の「AIモード」は知りたいことを様々なウエブサイトから取得し、回答をします。つまり、元情報のウエブサイトは閲覧されなくなります。これはウエブサイト制作者のモチベーションを非常に下げることになります。
 今後、どうなるか分かりませんが、「建築構造設計べんりねっと」もまだまだ頑張っていきます。建築構造のウエブサイトを運営されているからも頑張って欲しいです。








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2025年08月17日

構造設計を覚えるコツ〜構造設計が向いてないと諦める前に

 構造設計に長年携わっている筆者も今までに多くの新入社員に接してきました。中には最初、「構造設計が向いてないんじゃないか」と思った人も居ました。構造設計の基本は構造力学ですが、大学一年生で習うような簡単な力学計算もできず、トンチンカンな計算となってしまう。これは会社で教わるようなことではなく、先輩・上司も仕事を教えるにあたり、この程度はできるのが前提です。「何故、こんな簡単なことが理解できないのだろう。簡単過ぎて、どう教えたら良いか分からない。」と思います。

 逆にできない新入社員も遣っていけるのかと自信をなくし、不安に思っている人も居るでしょう。しかし、良い大学を出て、プライドもあるので分からないとは言いたくない人も居ます。

 このような人の中には挫折した人も居ましたが、そんな新入社員達を多く見てきて、理解できないポイントが分かってきました。このようには構造設計が向いてないと諦めかけている人に構造設計のコツを教えます。応力計算の方法等を解説するのではなく、考え方のコツです。建築構造の見方を少し変えれば理解できるようになります。
 また、このような新入社員を迎えた方にも参考になると思います。

『構造設計を覚えるコツ〜構造設計が向いてないと諦める前に』
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著者:建築構造設計べんりねっと
出版社名:Booth
ファイル形式:PDF(全62ページ)
価格:1,200円(税別)

【目次】
1.はじめに
2.図面を読めるようになる
3.力の流れ、支持形式を理解する
4.応力計算の習得方法
5.断面計算の習得方法
6.構造計算プログラムの使用方法
7.課題の回答と解説
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