実はこの建築基準法改正(4号特例改正)で最も影響を受けるの地盤(地盤改良)設計です。

このような状況の中、確認申請の円滑化策として、以下の二つの対策が行われます。実際は法改正の骨抜き、先送りですが。
@新法対応の経過措置
2025年4月の法施行から1年間は経過措置として、新法の適用をしなくて良いことがあります。対象となるのは壁量計算、柱の小径検討です。
A申請図書の合理化
木造2階建て300u以下で必要な構造図は基礎伏図、各階床伏図、小屋伏図、二面以上の軸組図、構造詳細図、使用構造材料一覧表、施工方法等計画書、基礎・地盤説明書ですが新しく定められた“仕様表”を添付すると基礎伏図、各階床伏図、小屋伏図、二面以上の軸組図の省略が出来ます。
木造2階建て住宅でも基礎・地盤説明書が必要
上記の申請図書の合理化により、残る構造図としては標準図のようなものです。ここで注意しなければならないのは基礎地盤説明書は省略が出来ない、確認申請で添付が必要と言うことです。つまり、地盤(地盤改良)の設計です。
尚、当初の確認申請審査マニュアルでは「地盤調査報告書は添付省略」と記載されており、地盤および地盤改良の計算書は不要と思われていましたが最終版は修正されており、木造2階建て住宅において仕様規定で申請する場合も地盤および地盤改良の計算書が必要になります。
基礎地盤説明書とは?
建築基準法施行規則第1条の3で以下のように基礎地盤説明書に明示すべき事項が定められています。
・支持地盤の種別及び位置
・基礎の種類
・基礎の底部又は基礎ぐいの先端の位置
・基礎の底部に作用する荷重の数値及びその算出方法
・木ぐい及び常水面の位置
これでは具体的に確認申請に添付する図書が分かりません。2025年4月からの法改正後、木造2階建て住宅は建築基準法第6条の四号の建築物から、三号の建築物の扱いになります。(法改正後は新二号となります。)
以下リンク先の確認審査機関のホームページに基礎地盤説明書として提出が必要な図書がまとめられています。
神奈川県建築安全協会
https://kkak.jp/files/libs/1886/201801291929537238.pdf
アール・イー・ジャパン株式会社
https://re-japan.co.jp/cms_rej22/wp-content/uploads/2022/05/16883ac9886456510d3d904930a6805f.pdf
https://re-japan.co.jp/cms_rej22/wp-content/uploads/2022/05/6a43bd710c3390e2ca9ea9f82d7e7f15.pdf
まとめると以下が必要となります。
@地盤調査報告書
A地盤支持力(地耐力)計算書
B地盤補強を行う場合は地盤補強計算書および地盤補強計画図
地盤調査を実施せずに土質を目視確認と言う方法もありますが、今時、地盤調査を実施しない会社はないでしょう。
小規模建築における地盤設計の現状
現状、小規模建築における地盤設計は大手ハウスメーカーを除き、地盤調査会社による地盤支持力(地耐力)計算または地盤改良会社による地盤補強設計が行われているのが実情です。尚、この地盤調査会社と地盤補強会社は同じであることが多いです。法改正後の地盤設計もこれらの会社で行われます。
この地盤会社の設計者は設計が専門ではなく、現場管理や見積り(積算)なども行っていることも多いです。
本業は現場管理でしょう。
地盤補強工法も様々なものがあります。中には「確認申請に提出する場合は使用できません。」などと堂々と書いているものもあります。このような工法は当然、法改正後は使用できません。
問題は確認申請対応
この地盤会社ですが、現状も地盤計算書は作成しています。問題はその形式、書式が確認申請に提出するものとして十分かどうかです。今回の法改正で確認審査機関が最も心配しているのは今まで構造図書を確認申請に提出していなかった住宅販売会社が確認審査が出来る図書を作れるのかです。地盤設計についても同じでしょう。
上部構造については上記で説明しました図書の合理化があります。構造の確認審査は計算書の内容が構造図に適正に反映されているかの確認を行いますが、伏図が省略されるので実質、確認が出来ません。この分、構造審査が基礎地盤設計に向かうことが予想されます。
地盤調査、地盤改良工事は確認申請対応ができる会社に発注することが必要でしょう。