木造や壁式鉄筋コンクリート造で平面的に斜めの壁(A-B)がある場合、座標軸方向(加力方向)に対する
その壁の耐力評価方法 P'は以下となる。
P' = P・cos^2θである。
P:壁の耐力、θ:座標軸(加力方向)となす角度
単純に水平投影長さ(A-B')であるcosθではなく、cosθの二乗である。

cosθの二乗を掛ける理由を考える。

上図のように斜め壁A-Bがある。この壁の加力方向(X方向)の水平投影長さは、L・cosθである。この壁に対し、X方向に加力した場合、δの変位がしたとする。(C-Dに移動)しかし、壁は材軸方向の耐力であるので材軸方向の変位δ’はδ・cosθになる。よって、X方向加力時の壁耐力は壁実長Lに対し、cosθの二乗で評価する。
この説明は正しいのか?
単純なモデルで検証してみる。
下図のように1辺が1mの壁がある正方形の建物が45度傾いた場合を考える。

水平投影長さで考えた場合、X方向では、cos45°で評価すると1/√2の4枚分なので以下となる。
壁長さ:1/1.414×4 = 2.82m
45度方向で考えた場合の壁長さは、もちろん、2m。これでは多く評価してしまう事になる。
cosθの二乗を掛けると以下となる。
壁長さ:1/1.414^2 ×4 = 2m
これなら、問題ない。
やはり、cosθの二乗を掛けるのが正しいのか?
座標軸に対し、平行方向と斜め方向の壁が混在する場合を考える。
この場合の有効な壁耐力は前述の通りである。しかし、剛性は正しく評価されているのだろうか?
このcosθの二乗を掛ける考え方は、剛性は耐力に比例するとの仮定の上、手計算で行う簡易は構造計算方法の場合のものと考える。
やはり、cosθの二乗ではなく、加力方向に対し、XY方向に分解した剛性で評価すべきと考える。そして、
上記のように45°傾いた建物では加力方向を変えて、検討する必要がある。剛性評価を考えた場合、cosθの二乗で評価する事は必ずしも安全とは限らない。
結論としては斜め方向に剛性を持つ部材として、立体解析で計算を行い、加力方向を変えた場合も検討すべきと考える。
アークデータ研究所のASTIMであれば、この検討が可能か。この検討が出来ないプログラムの場合は手計算で追加の検討を行うべきである。