
梁スターラップの加工形状について、解説します。
スターラップ(あばら筋)、フープ(帯筋)の役割
日本建築学会「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説」によるとスターラップ(あばら筋)、フープ(帯筋)の役割は以下となっています。
・柱や梁部材の軸方向鉄筋(主筋)に直交し、それらを囲むように配筋し、せん断力に対して作用させる。
・軸方向筋(主筋)の座屈を防止する。
・終局時においては囲まれるコアコンクリートを拘束し、部材の脆性的な破壊を防止する。
鉄筋が溶接や機械式継手で閉鎖型になっていなければ、この性能を担保できますが、現場で型枠内に主筋をスターラップを組み合わせる梁についてはこのような方法は出来ません。よって、閉鎖型と同等の性能とできる加工形状とする必要があります。具体的には以下の2通りです。
・スタラップの末端を135°以上のフックで梁コンクリート断面内に折り曲げる。
・90°フックとし、スラブコンクリート断面で拘束する。
様々なスターラップ形状の解説
@135°フックによる閉鎖型

最もオーソドックスな加工形状です。鉄筋の重ね部分で双方を135°フックとし、梁断面内に折り曲げます。一般にはフックの向きを交互にしますが、これはコンクリートの充填性の向上、スターラップによる拘束効果の安定性を目的としたものです。フックを片側のみに寄せるのがダメであるとのことではありません。
A135°フックによるキャップタイ型

現場配筋の施工性を向上させるために上面のスターラップを分割し、135°フックで掛けます。
B片側135°、片側90°フックによるキャップタイ型

両方が135°フックであるとキャップタイを掛ける時に縦方向のスターラップを押し曲げて掛けることになります。これを改善するために片側90°とする形式です。先に135°側のフックを主筋に掛け、回転させるように90°フックを被せます。
しかし、これには条件があります。90°フックでは鉄筋末端の拘束ができないので90°フックとする側はスラブが取り付いていることが必要です。
C両側90°フックによるキャップタイ型
キャップタイのフックを両側90°とすることも可能です。当然、この場合は両側にスラブが取り付いていることが必要です。

こんなスターラップ形状もある
D180°、135°フック型

スターラップの縦方向の鉄筋を180°、キャップタイを135°とする場合があります。梁幅が狭い場合、縦方向の鉄筋の135°フックが角から二つ目の鉄筋に干渉してしまうことがあります。このような場合、180°フックとすることで干渉を避けます。
当然、135°よりも大きいため、問題ありません。また、スラブの取りつきによってはキャップタイのフックを90°とすることも構いません。
E重ね継手型

地中梁など梁せいが大きい場合、一度に鉄筋を組むのが難しい場合があります。このような時、スターラップの縦方向鉄筋の途中で重ね継手とします。