2020年03月20日

RC柱頭配筋の不思議C〜正しい配筋の考え方はコレ。

 RC造の最上階柱の柱頭配筋について、考えてきたが、正しい配筋の考え方、私なりに考えた望ましい納まりをまとめる。




柱頭部における柱主筋末端のフックについて
・梁や壁が取り付く部分は出隅にはならず、フック不要。
・拘束帯筋を設けることにより、柱四隅の主筋末端のフック不要。
・「配筋指針」解説図のカゴ筋納まりの場合はカゴ筋末端はフック不要。


(解説)
1.施行令第73条の「鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて」は令36条2項一号により、保有耐力計算(ルート3)を行うと除外される。また、日本建築学会「配筋指針」は建築基準法上の「特別な調査又は研究」にあたり、同じように除外される。
2.柱出隅部の鉄筋末端にフックを付ける理由は柱の角のコンクリートが割れた場合、鉄筋の付着力が低下するのを防止するためである。しかし、このような事を言い出したら、きりがなく、この目的でのフックは不要と考える。
3.「配筋指針」では各種指針の四隅フックは、通例として、行われているものと書かれており、工学的根拠は多くない。
柱頭部の柱主筋の定着長
・柱主筋は梁に直線L2又はフック付きL2hの定着長が必要である。
・カゴ筋納まりの場合もL2hの定着長を確保する。
・定着長は仕様規定(**d)ではなく、計算により、確認する事で短くする事が出来る

(解説)
1.どの納まりでも柱主筋が抜け出ないようにする仕様とする必要がある。付けアンカーのような事をする場合も同様である。
2.配筋指針などの定着長L2は施工管理が煩雑にならないようにまとめられ、又は丸められている。柱頭部においては定着長を計算で決定する事をすすめる。鉄筋とコンクリートの種類のみで決定するものなので、この部分のみであれば、それほど煩雑にはならない。
柱頭の無筋状態部分の改善
・カゴ筋納まり又は柱内拘束筋の設置を推奨する。
(解説)
柱主筋四隅フックで無筋状態の部分が発生することは、やはり、問題である。各種標準図でこれが改善されていないことも通例なのだろうか。特にセットバックをしており、下層階でこのようになる部分については要注意である。
推奨する柱頭の納まり



以上から考えると日本建築学会「配筋指針」備考図9.9 右側の納まりの最善と考えます。

柱頭配筋.png
posted by 建築構造設計べんりねっと at 11:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 構造設計メモ

2020年03月16日

RC柱頭配筋の不思議B〜柱主筋の定着は必要?

 最上階の柱頭のみではなく、RC部材の仕口部は鉄筋により、緊結、一体化しないとならない。柱の最上階の柱頭については柱主筋が抜け出ないようにL2の定着長を確保しなければならない。

 柱主筋の定着について、考えてみる。
昔は柱主筋の定着長に関する基準はなかった。
 「昔は、こうだった。」だから、不要と言う訳ではありませんが、昔は柱主筋のL2定着との基準はありませんでした。柱主筋L2定着の基準は日本建築学会「鉄筋コンクリート造配筋指針・同解説」2003年版からです。東京都建築士事務所協会等の配筋標準図等でも柱主筋L2定着の記載はありませんでした。
 RC規準における付着、定着に関する基準が改定された事を受け、配筋指針も改定されました。現行の配筋指針2010年版においても同様の基準です。
 今、考えれば、この基準が無かった事は指針、標準図の不備としか思えません。




カゴ筋納まりは柱主筋の定着は不要?
 2003年以降の配筋指針では最上階柱頭の納まりは柱主筋を梁にL2定着、L2定着確保のために柱を立上る、カゴ筋納まりの3通りがありますが、この3通りの使い分けを考えると以下のように読めます。

・基本は柱主筋を梁にL2定着(又はフック付きL2h定着)
・定着長が確保できない場合は柱立上げ又はカゴ筋納まり
※カゴ筋納まりには柱主筋の定着長に関する記載はない。

カゴ筋納まりは柱主筋の定着は不要?

 梁せい、柱幅、柱主筋の種類にも寄りますが、考えなくとも良いはいかないでしょう。この件についてはRC規準2010年版のQ&Aに記載されており、カゴ筋納まりについても柱主筋の定着は必要です。
 どこの長さで定着長を考えるかですが、まあ、直線L2hが確保出来れば、問題はないと考えます。
隅柱では柱主筋の定着は不要?
 隅柱におけるL型接合部においては梁の主筋を立ち下げた部分で定着長L2を確保する事となっています。この部分においても柱主筋の定着は必要でしょうか?
L型接合部.png
 柱主筋の定着が必要な理由は柱と梁を一体化する、柱主筋が抜け出ないようにする事です。梁の定着長を
L1とし、重ね継手とすれば柱主筋の梁への定着長は不要と考えます。
最上階柱梁仕口部における無筋部分の問題について
 最上階柱の柱頭部における配筋の問題点として、柱主筋をフック付きとした場合、柱主筋が梁上端筋の下で
止まる事により、無筋状態の部分が発生する事です。
 これは仕方ない部分もあるかも知れませんが、胸を張って、問題ないとは言えない。やはり、カゴ筋や日本建設業連合会の標準図にある柱内拘束筋などが望ましいでしょう。




posted by 建築構造設計べんりねっと at 07:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 構造設計メモ

2020年03月13日

RC柱頭配筋の不思議A〜柱主筋のフックの必要性

RC柱頭配筋に関する問題点、様々な仕様を紹介したが、やはり、問題は柱主筋のフックの必要性だ。

フックが必要となる根拠は建築基準法施行令第73条による。まずは基準法を解読してみる。



施行令第73条によるフックの必要性
令第七十三条(鉄筋の継手及び定着)
 鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、コンクリートから抜け出ないように定着しなければならない。ただし、次の各号に掲げる部分以外の部分に使用する異形鉄筋にあつては、その末端を折り曲げないことができる。
一  柱及びはり(基礎ばりを除く。)の出すみ部分
二  煙突


「鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、...次の各号に掲げる部分(柱の出すみ部分)以外の部分に使用する異形鉄筋にあつては、その末端を折り曲げないことができる。」
 つまり、柱の出隅部分の鉄筋はフックが必要であるという事です。

 もう少し、注意して読んでみます。
・部材の端部ではなく、鉄筋の末端。
・柱の四隅ではなく、出隅。


 つまり、柱の出隅部分は最上階の柱頭部のみでなく、主筋の重ね継手部など、鉄筋の末端となる部分は全て、かぎ状に折り曲げる必要があると言う事です。
 尚、フック、かぎ状に折り曲げる理由としては技術基準解説書によると「柱、梁の出隅部分や煙突の鉄筋はかぶりコンクリートが割れやすいこと、熱を受け、付着強度が低下することにより、フックを義務付けている」となっています。建築学会の配筋指針では、「柱・梁の出隅部分の鉄筋ではコンクリートのかぶり厚さが2方向となり、かぶり部分のコンクリートが割れやすく、また、煙突の鉄筋ではコンクリートが熱を受けて、付着が低下するおそれがあるためである。」となっています。
 つまり、柱については“コンクリートが割れやすい”と言う点を考慮すれば良いのである。

柱の出隅部分ってどこ?四隅ではなく、出隅?
 施行令第73条では、四隅ではなく、出隅となっています。技術基準解説書、配筋指針の記載では出隅とはここです。
出隅.png
 壁が取付いている部分は出隅ではありません。配筋指針の通り、梁が取付く部分も出隅ではありません。




 一つ、注意が必要なのは、梁・壁の寄りによって、出隅になったり、出隅でなくなったりすると言う事です。まあ、梁との取り合いがない部分であればフックも邪魔にはなりません。

 さて、東京都建築士事務所協会他の配筋標準図ではフックの位置が柱の四隅となっています。四隅と言うと梁、壁の取付き方に係らず、柱の角の主筋四か所です。
 と言う事は、やっぱり、四隅全てにフックが必要になるのか?東京都建築士事務所協会のカゴ筋にはフックが付いていない。やはり、矛盾が多い。。。

施行令第73条を回避する方法
 施行令第73条による柱主筋のフックを法的に回避する方法があります。それは、令三十六条2項一号に規定されており、保有耐力計算(ルート3)を行うと施行令第73条の準拠は除外されます。建築学会の配筋指針にも、その旨が記載されています。

 もう一つの方法は、建築基準法で規定されている「特別な調査研究」で安全性を確認する方法です。建築学会の配筋指針によると配筋指針が特別な調査研究にあたるそうです。

 柱出隅部のフックは、かぶりコンクリートが割れやすいためであるが、「保有耐力計算でその検討を行った?}建築学会は、「かぶりコンクリートが割れないかの研究を行ったのか?」と思うでしょうが、法的には、このようになっているのです。

柱主筋のフックについて、疑問、矛盾は解決していない。
 さて、柱主筋のフックの必要性について、まとめましたが、疑問は解決していない。

@東京都建築士事務所協会他の標準図では四隅にフックが必要としている。

A東京都建築士事務所協会のカゴ筋納まりのカゴ筋の末端にはフックが記載されていないが、出隅部は必要なのでは?この納まりは建築学会「配筋指針」の備考9.5の解説図9.9にも記載されている。

B建築学会「配筋指針」では、フックの代わりに拘束帯筋があるが、これで柱主筋の付着力を向上させているとは思えない。

C建築学会「配筋指針」のカゴ筋納まりではフックが付いているが、出隅部でない場合はフックを省略して良いのか?

D建築学会「配筋指針」の柱を立ち上げる納まりでは、柱主筋は出隅部になる。二重帯筋で付着力が改善できるのであろうか?拘束帯筋との違いは?

E建築学会「配筋指針」では四隅にフックを付けることを「通例として」と書かれてる。技術的な根拠はないと言うことか?



posted by 建築構造設計べんりねっと at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 構造設計メモ