液状化の検討は戸建て住宅を含む全ての建築物で必要となり、確認申請で指摘を受ける、見解を求めれることになります。
戸建て住宅であれば、小規模建築物基礎設計指針の簡易判定法によることも出来ますが、3階建て程度の中規模建築物には採用出来ません。また、液状化の検討にはボーリング(標準貫入試験)及び粒度試験が必要になります。
以下に粒度試験によらない場合の液状化検討方法の例を示します。
土質から判定する
『建築物の構造関係技術基準解説書』では地震時に液状化のおそれのある地盤は以下となっています。
イ.地表面から20m以内の深さにあること
ロ.砂質土で粒径が比較的均一な中粒砂等からなること
ハ.地下水で飽和していること
ニ.N値が概ね15以下であること
ここでポイントは「砂質土で粒径が比較的均一な中粒砂等からなること」です。当然、シルトは対象外であり、細砂も中粒砂でないので液状化検討の対象外とも考えられます。
設計方針に以下のような設計者の見解を記載します。
「基礎下地盤に存在する細砂層は中粒砂には該当せず、液状化の危険性は少ないものと判断した。」
液状化に対する見解が記載されていない事が問題なので設計者の見解が示されていることが必要です。尚、液状化の危険性がないとの断言は出来ないので、少ないとの表現にします。
液状化マップにて判定する
各行政にて、液状化の危険度を示す液状化マップが公開されています。この液状化マップで計画地を調べ、液状化の危険性が高いエリアに該当しない場合は、同じく設計方針に以下を記載します。
「液状化マップより、液状化の危険性が高い地域に該当せず、液状化の危険性は少ないものと判断した。」
土質定数の参考値で判定する
土木の基準である道路橋示方書(耐震設計編)には各土質の単位体積重量、細粒土含有率の参考値が示されています。この参考値により、FL値及びPL値の算出を行うことが出来ます。
通常、粒度試験を行えば、FL値の算出は地盤調査報告書内で行われていますが、試験を行っていない場合は設計者が検討を行うことが必要になります。
『建築構造設計べんりねっと』にて、道路橋示方書(耐震設計編)の参考土質定数からの液状化判定ツールをリリースしましたので、ご利用下さい。

『かんたん!液状化検討』
価格:800円(税込)
販売:Boothによるダウンロード販売
日本建築学会「基礎構造設計指針」に準拠した液状化の検討の検討を行います。液状化判定値はFL値とPL値を算出します。
液状化検討における土質定数は道路橋示方書(耐震設計編)の一般値を採用しており、粒度試験なしで検討が可能です。
入力は土質(深度、土質名、分類)、地下水位、N値の入力のみですので簡単に検討が出来ます。
小規模建築物基礎設計指針の簡易判定法ソフトは「SS試験からの液状化簡易判定」をどうぞ!