2026年05月11日

土の間隙比とは

 地盤の沈下計算を行う時に間隙比と言う計数を使用します。この間隙比について、解説します。




 土は土粒子、水、空気にて構成されています。
土の構成.png それぞれの比重は土粒子2.0程度、水1.0、空気0です。地下水位以下の比重1.6の土の場合、土粒子の体積が60、水が40となっています。
(2.0×60+1.0×40)/(60+40)=1.6



 間隙比とは土粒子の体積Vsに対する間隙(水、空気)の体積Vvの比率です。
 間隙比e = 間隙の体積Vν/土粒子の体積Vs

 上記の比重1.6の土の事例ですと間隙比は0.67(=40/60)となります。



 圧密沈下とは土に荷重が作用し、間隙水が抜け、体積が減少する現象です。事例の土にある荷重が作用し、間隙水の体積が30になりました。この時の間隙比は0.5(=30/60)です。合計の体積は90(=60+30)ですので10%減少することになります。
 これに層厚Hを掛ければ、その層の沈下量になります。この計算を間隙比を用いると下記の式になります。
elog.png
 これを事例の土の当てはめると
(0.67-0.50)/(1+0.67)×H=0.1(10%)×Hになります。

 ある荷重に対し、間隙比がどの程度変化するのかは圧密試験にて測定します。結果は下図のように対数のグラフとします。作用する荷重ごとのグラフから間隙比を読み取り、計算します。

 土も理論上は降伏点を有します。しかし、鋼材などと違い、鋼材点が明確でないので対数を取ることで、その変化点を分かりやすくするのです。この降伏点を圧密沈下の場合は圧密降伏応力と呼びます。
 初期(荷重作用前)の間隙比と圧密降伏応力時の間隙比を直線で結び、その角度をCcと言う圧密係数に設定すると下記の式で圧密沈下量を計算することか出来ます。
cc.png
 logによるややこしい式ですが、Ccを求めるにあたり、対数を取ってるのでlogが必要になるのです。

 間隙比と似たような係数で含水率があります。含水率は土粒子の重量Wsに対する水の重量Wwの比率です。
 含水率(%)= 土粒子の重量Ws/水の重量Ww✕100

 上記の比重1.6の事例ですと含水率は33%となります。
 (1.0×40)/(2.0×60)×100=33%

 軟弱な地盤だと下記のように含水率が100%を越えることかあります。
 (1.0×70)/(2.0×30)×100=117%
 この事例では70%が水であることになります。
 尚、圧密係数Ccと含水率Wlの関係式として、Cc=0.009×(Wl-10)がありますが、これはあくまで参考値、一つの事例とのものです。正確には圧密試験の結果によります。

 沈下量を求めるのは非常に難しいことですが、圧密沈下のメカニズムを考えると以下となります。
 「水が少ない土は圧密沈下が少ない。→水が少ないと比重が大きくなる。→比重が大きい土は強い」





 

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2026年02月14日

RC造/ひび割れ誘発目地を設けてはならない箇所

 RC造の外壁や土間コンクリートには、ひび割れ誘発目地を設けます。しかし、スラブや木造の基礎などにはひび割れ誘発目地を設けません。この理由を解説します。
タイトルなし.png





ひび割れ誘発目地の目的


 RC造の外壁や土間コンクリートに設けるひび割れ誘発目地の目的はRC造ではコンクリートの材料としての特性上、避けることのできない乾燥収縮、温度変化によるひび割れを目地部分に集中させることで他の部分へのひび割れを防止するものです。
 外壁は外気や日射に晒されており、ひび割れが発生しやすい状況です。土間コンクリートは梁に囲まれている構造スラブと比較し、1枚の面積が大きくなるので乾燥収縮、温度変化の影響が大きくなることでひび割れが発生しやすい状況にあります。

ひび割れ誘発目地の弱点


 このひび割れ誘発目地ですが良いことだけでなく、以下の弱点もあります。
  • 構造断面を欠損させることになるので強度が低下する。
  • 目地の厚み分、鉄筋のかぶり厚が少なくなり、耐久性が低下する。
  • ひび割れ箇所で水が浸入すると鉄筋のサビが発生し、強度の低下、コンクリートの剥離の懸念がある。

  •  よって、外壁のひび割れ目地は増打ち部分や内側の鉄筋位置に目地を設け、目地部分はシーリングを行うことで水が浸入しないようにします。但し、シーリングは定期的に補修が必要となります。
    ひび割れ目地.png
     土間コンクリートについては部材断面の強度ではなく、地盤の強度で床を支持します。鉄筋もひび割れ防止のためのシングル配筋であることが多いので目地を設けてもかぶり厚も確保でき、強度の低下はありません。但し、外部の土間コンクリートではコンクリート打設後にカッターで目地を設けるのではなく、エラスタイトにより、鉄筋も切断することがサビの発生によるコンクリートの剥離を防止するのに望ましい方法です。



    スラブや木造の基礎に誘発目地を設けない理由


     スラブにひび割れ誘発目地を設けない理由は上記の弱点によるものになります。
  • 鉛直面である壁に対し、水平面となるスラブでは雨水侵入による鉄筋のサビ発生(強度低下)の懸念がある。
  • 鉄筋のかぶり厚の確保、断面欠損を避けるためには増し打ちが必要になるが建物重量、地震力の増加となり、耐震性を低下させることになる。

  •  木造の基礎においても常時湿潤状態にある地中にあるため、水の侵入による鉄筋のサビ発生(強度低下)の懸念があるのでひび割れ誘発目地は設けません。



    構造スラブ、木造基礎のひび割れ対策


     構造スラブ、木造基礎においてもひび割れが発生することがあります。上記の理由により、「ひび割れ誘発目地を設けられないので、ひび割れが発生しても仕方ない」とはなりません。構造スラブ、木造基礎のひび割れ対策を解説します。
     構造スラブ、木造基礎において、ひび割れが発生しやすい場所は外気や日射に晒されており、乾燥収縮、温度変化の影響が顕著となる外部です。木造基礎であれば外周部、RC造の構造スラブであれば外部の片持ちスラブです。そして、乾燥収縮、温度変化は部材の長さ方向に影響が大きくなります。つまり、木造基礎であれば、ひび割れは縦方向、RC造片持ちスラブであれば長さの直角方向となることが多いと思います。

     コンクリートがひび割れるとはひび割れ方向と直交方向に力が作用したことになります。片持ちスラブであれば配力筋、木造基礎であれば主筋・腹筋方向です。これらの鉄筋を十分に配筋することが対策となります。詳細については日本建築学会「鉄筋コンクリート造建築物の収縮ひび割れ制御設計・施工指針・同解説」を参照して下さい。




    タグ:RC造
    posted by 建築構造設計べんりねっと at 14:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 構造設計メモ

    2026年02月01日

    施工不具合対応マニュアル/鉄筋継手の不具合

     鉄筋の継手は通常、D16以下は重ね継手、D19以上は圧接とします。D35以上は重ね継手は禁止されています。RC造における鉄筋の継手に関する施工不具合の対応方法を解説します。
    つぎて.jpeg

    重ね継手の差筋位置がずれている


     重ね継手は通常、鉄筋どうしを束ね、結束線で結びます。壁やスラブなどのコンクリート打ち継ぎ位置で重ね継手のための差筋が本来の位置よりも部材の長さ方法でずれている場合があります。
     この時、差筋の台無しを行い、鉄筋どうしを束ねる方法もありますが、下図のように空き重ね継手と呼ばれる方法も日本建築学会「配筋指針」で認められています。
    空き重ね継手.png
     この場合、鉄筋どうしの間隔が0.2・L1かつ150mm以下である必要があります。また、空き継手と出来るのは壁、スラブなどで鉄筋が部材の長さ方法にずれている場合のみで部材断面の内部側に鉄筋ずれている場合は採用出来ません。もちろん、断面の外側にずれている場合はかぶり厚さが確保できなくなるので採用出来ません。




    鉄筋の空きが確保出来ない


     小梁などの主筋でD16以下の場合は重ね継手とするのが一般的であり、通常は鉄筋を横に並べて、束ねます。鉄筋を横に並べると隣の鉄筋との空きが取れない場合、継手鉄筋を上下(縦)に並べる方法も日本建築学会「配筋指針」で認められています。
    上下重ね継手.png
     尚、継手鉄筋は継手範囲から外れる位置より緩やかに正規の位置に戻します。

    圧接が出来ない


     施工の仮設計画で大梁部分にコンクリートの打ち継ぎを作り、中央部分を後打ちとする場合があります。このような時、梁主筋の圧接が出来なくなります。圧接は継手部分の鉄筋をガスで加熱し、圧力を掛け、一体化しますが、両側のコンクリートが打設済であると鉄筋を引っ張り、圧力をかけることが出来なります。
     このような時の対応ですが、まず、鉄筋の空きが確保出来るのであれば重ね継手でも構いません。しかし、通常は重ね継手で納まる断面、鉄筋本数となっていないでしょう。鉄筋の継手には溶接(突合せ)や機械式継手も認められていますので、これらを検討しましょう。



    重ね継手長さが足りない


     コンクリートの打ち継ぎ位置からの差筋が重ね継手長さL1に不足している場合の対応方法です。
     このような時の対処方法としては圧接、溶接(突合せ)、機械式継手が考えられますが、その他の方法としてはフレア溶接があります。フレア溶接の場合、溶接長さは片面10d又は両面5dのいずれかになります。しかし、異形鉄筋はリブがあり、現場での溶接となると溶接品質を確保するのが難しいので、余りオススメ出来ません。





     構造計算による再検討が必要ですが以下の方法もあります。重ね継手長さL1はコンクリート強度ごとに鉄筋径(呼び径)の40倍などと定められています。これは鉄筋に作用する力とコンクリートの周面付着強度から決定されています。しかし、部位ごと、コンクリート強度ごと、鉄筋径ごとに重ね継手長さを設定するのは設計側も施工側も作業が煩雑になるので、鉄筋のフル強度に対し、計算したものを丸めて定めています。つまり、個別に計算すれば、若干は短く出来ます。
     もう一つはイレギュラーですが鉄筋径を変えてしまう方法です。異なる径の鉄筋を重ね継手とする場合、重ね継手長さは小さい方の径で決定します。つまり、鉄筋径を下げれば重ね継手長さを短く出来ます。この場合、元の鉄筋断面積と同等になるように本数を増やす必要があります。これは空き重ね継手とします。

    posted by 建築構造設計べんりねっと at 18:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 構造設計メモ