2019年11月27日

天空率で設計すると杭のコストが上がる!?

平成14年の建築基準法改正で土地の有効利用を目的に天空率が導入されました。これは本当に効率の良い設計方法なのでしょうか?




構造屋の私が素人ながら、説明すると天空率とは、こんな事です。

従来の道路制限などによる絶対高さの制限から、同等の天空率とした場合、高さ制限が緩和されると言うものです。
具体的には、ある地点から、空が見える面積を同じにすれば、高さ制限は守らなくて良いと言うことです。

どうするかと言うと建物を敷地いっぱいに建てるのではなく、幅は狭め、上に伸ばすのです。これにより、容積が多く取れるので、土地利用としては、効率が良くなります。
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本当に効率が良いのか?

構造設計者なら、想像付くと思います。


そうです。天空率による設計で敷地に余裕があるに関わらず、塔状となる建物が増えているのです。

構造設計者でない方に説明します。建物の高さと幅の比が、4を越えると建物の転倒に対する検討が付加され、杭コストが大幅に増えるのです。

このような建物が増えています。





他にも容積を多くするための手法により、塔状建物となり、杭コストが増えている事例があります。

日影規制の対応です。

建物(幅、高さ)が大きくなると当然、日影時間が長くなります。そこでどうするかと言うと敷地を2分割して、別々の建物とし、日影規制をクリアしようとする人が居ます。

所有者は同じでも、建築基準法上は別となります。日影規制は、それぞれで適用されるので、対象となる裏のお宅の日影時間が長くなっても、「それは、隣の建物からの日影ですから、私は知りません。」がまかり通ります。
日影.png
建物形状としては、一つの建物を二棟に分け、上に伸ばすので、当然、塔状比があがります。杭コストが増える事になります。

このような計画は土地の有効利用なのですかね?使わない部分を多く残した建物が。
posted by 建築構造設計べんりねっと at 23:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済設計手法

2019年11月18日

構造の経済設計〜「効率的なコストダウンの考え方」

 構造のコストダウンを行うための考え方を紹介します。




1.減らすのではなく、無くす
 コストダウンが必要になり、部材断面、配筋を一生懸命に絞っても目標の価格に届くことは少ないと思います。構造体をこの作業で絞る程度の金額の差は、そもそも、コストダウンが必要と考える額の対象ではない事がほとんどです。
 大きくコストダウンを目指すなら、「減らす、絞る」ではなく、「無くす」との発想による取り組みが必要です。
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2.メジャーな工法は使用しない、後発メーカーの工法を採用する
 構造においても様々なメーカーが扱っている工法があります。鋼管杭、鉄骨造露出柱脚、せん断補強筋。各工法にオーソリティとなるメジャーメーカーが存在します。実績もあり、バリエーションも大きく、使いやすいと思いますが、他メーカーと比較して、コストは上がります。
 コストダウンを考えるなら、メジャーメーカーではなく、後発メーカーの工法を採用しましょう。後発メーカーはメジャーメーカーに対抗するには、コスト勝負をするしかありません。特にリリース、発売直後の工法は値引きキャンペーンを行っている事が多いので狙い目です。


3.省力化、短工期工法を使用せず、人海戦術工法を採用する
 省力化、短工期を売りにしている工法が多数ありますが、コスト的に有利になることはありません。プレファブ化、プレキャスト化している工法も運送費、現場での揚重機の費用がかさむため、人海戦術による現場組み工法にはコスト的には敵いません。また、何処の会社でも施工出来る工法になるので競合させ、コストを抑える事も期待出来ます。
 但し、人手不足の建設業全体が疲弊しますが。


4.意匠計画を見直す
 大きくコストダウンをするには、構造計画の見直しが必要です。構造計画=意匠計画です。意匠と構造が協力しないとコストダウンは出来ません。積極的に提案しましょう。



5.仕上げ、デザインを変える
 ん、構造のコストダウンではない?
 でも、コストダウンを望む人は構造のコストダウンがしたいのではなくて、建物のコストダウンがしたいのですよね。だったら、構造でも意匠、設備でもコストダウンが出来れば良いではないですか。構造でちょこまか落とすより、効果的です。ここも積極的に提案しましょう。


6.単価、積算数量を見直す
 最後の手段は単価、積算数量の見直しです。見積りを貰い、単価及び数量のチェックをしましょう。コストダウンと言うと見えない部分の構造ばかり狙われ、構造設計って、つらい立場だと構造設計者は感じていると思いますが、積算担当者もつらい立場です。
 数量が不足する、見落としがあると現場に責められる。高いと営業に責められる。ですが、金額が不足し、利益が減るのを一番恐れるので、余裕を見込みます。そこに手を入れましょう。
posted by 建築構造設計べんりねっと at 07:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済設計手法

2019年11月15日

構造の経済設計「経済設計の裏技、必殺技」

「構造の経済設計」シリーズについて、色々と問合せ、質問を受けていますが、その中で「構造の経済設計の裏技、必殺技的なものはないですか?」との問合せがありました。

 答えは以下です。





●経済設計手法は各種設計基準、設計指針にすべて載っている。これらを読み、理解する。

●一貫構造計算プログラムだけで設計を完結させようとしない。
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 各種設計基準、設計指針と言っても、『建築物の構造関係技術基準解説書』、鉄筋コンクリート造であれば『鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説』、それと 「建築基礎構造設計指針」及びこれらのQ&A程度で十分です。この中に経済設計手法の全てが書いてあります。その設計方法を選択するだけです。

 一貫構造計算プログラムは、これらの設計基準、設計指針の内容の全てが計算条件等で対応できるわけではありません。面倒だとは思わずに追加計算、補正計算を行うことが大切です。

 私は仕事で色々な構造設計者の構造設計を見る事がありますが、明らかな不経済設計を見かける事があります。
・まず、構造力学が理解出来ていないのだろう。特に保有耐力計算でおかしな所ばかり、補強し、無駄に断面、配筋が増えている。
・時間的な要因か、計算プログラムでOKとなったことで満足し、設計を終えている。無駄な所がないかを確認するのも構造設計の仕事です。

 各種設計基準、設計指針にすべて載っているだけでは不親切なので、これから、事例を上がて、解説していこうと思います。


P投げ銭!
posted by 建築構造設計べんりねっと at 07:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済設計手法