2018年02月23日

構造設計とは?

ネットで「構造設計とは?」と検索すると大辞林で以下のように記されています。

建築物の構造にかかわる部分の設計。安全性・機能性・経済性を考慮して、主として力学的な面から構造の形式・材料を選定し、部材寸法を算定すること。

一般の方への説明ではなくて、構造設計者にとっての「構造設計とは?」を考えたい。

『建築構造設計べんりねっと』の考える構造設計

似た言葉で構造計算がある。

同じく、大辞林で調べると

建物を設計する際に、安全性を客観的な数値で計算すること。

思い込みではなくて、客観的である事はもちろん大切である。しかし、構造計算だけで全てが決まる訳ではない。

似た言葉、近い言葉でも我々、構造設計者にとっては大きく違う。我々は、構造計算ではなく、構造設計をしている。
我々の仕事を構造計算などと言われると侮辱されているようにも思ってしまう。構造計算ではなく、構造設計をしてるのです。

では、「構造設計」とは、何なのか?

既に多くの議論がされている事であると思うが、共感を覚える考えを紹介したい。

『日建設計の考える構造設計』
http://www.nikken.co.jp/ja/about/recruit/department/department03.html

「私たちは、構造設計のみならず、建物の設計すべてに責任を持つ設計者です」

補足の説明にあるチャレンジャーであるべきかは別として、“建物の設計の全てに責任”を持って設計しているのです。

構造設計とは構造安全性、構造経済性のみではなく、機能性、意匠デザインの実現性、施工性を考え、行うものです。立派な構造理論だけではなく、意匠の納まりの理解、施工についての理解が必要です。そして、それらをトータルで考え、設計、提案を行います。

決して、構造屋さんのこだわり、わがままだけで設計している訳ではないのです。

『構造設計一級建築士の資格取得講習テキスト』にあった言葉を要約、私なりの理解。

構造計算とは、たくさんの仮定の上で、また、施工時応力や建物の使用状態による応力など評価が難しいものがある中で“一つの釣り合い”を求めてるに過ぎない。構造計算プログラムの解析結果もユーザーが指定した条件の中での結果に過ぎない。

だから我々、構造設計者は、それを理解し、工学的な判断を行い、最終的な判断を行う必要がある。

一貫構造計算プログラムの解析結果は絶対の真理ではない!構造設計は、構造計算プログラムの解析結果を理解する事ではない。
構造計算プログラムで選択できる解析条件をを全て、ONにする事が正しい解に近づくとは限らない。

「構造設計の目的」の一つは安全な建物とする事です。神のみぞ知る建物に生じる正確な本当の応力を求める事ではありません。

工学的な判断と安全性を確認する手法を駆使し、建物を計画する事が構造設計です。

もう一つ、「構造設計とは」を考えるにあたって、重要な提言があります。

日本建築学会の提言『建築の構造設計-そのあるべき姿』です。
http://www.aij.or.jp/scripts/request/document/20100419-1.pdf

構造設計一級建築士の講習でも見た内容と思います。この中で特に共感を受けたものを紹介します。

「構造設計者には、倫理的行動、広範な洞察、的確な情報伝達、職能研鑽が求められる。」
構造設計者には職能研鑽が求められます。昨今、働き方改革、ワークライフバランスなどの言葉が流行っており、業務時間に制限があり、構造設計を深く考える時間も制限されている。しかし、我々、構造設計者は常日頃から構造設計に関わる情報、考えを収集し、研鑽しないとならないのです。


「法律は最低限の構造安全性を要請するが、構造設計における十分条件ではない。」
法律、基準であるが故にその適用の範囲が定められる事があります。しかし、適用外であるから準拠しないではなく、その基準の背景を理解し、採用について判断する事が必要です。
場合によっては、それが必要ないと判断した時は最低限、法律を準拠した上で自分の主張を行う事も必要です。


「多様な建築の構造を実現するための研究、次世代の構造設計者の育成が必要である。」

研究については、大学や企業の研究者に任せるとして、次世代の構造設計者の育成も我々の責務です。
今は働き方改革などで構造設計に没頭できる時間も限られるのも現状です。しかし、次世代技術者のためにそのような十分な時間と機会を作る事が必要です。
もちろん、次世代技術者も自ら、学ぶ姿勢が必要です。

以上を踏まえて、『建築構造設計べんりねっとの考える構造設計とは』

1. 構造設計とは、構造安全性のみならず、建物の全て(建物デザイン、機能性、設備、施工性)に責任を持って、構造設計の判断をする事である。

2. 構造設計とは、法律や各種基準などの“ルール”を守る事のみではない。構造計算プログラムの結果をOKにする事のみではない。
工学的判断のもとに安全性を確認する手法にて建物を計画する事である。

3. 構造設計とは、過去の設計の妥当性を説明する事ではない。常に新しい知見を取り入れ、進歩しないとならない。その為に構造設計者は常に新しい情報の収集、自己研鑽をしないとならない。

これらのために『建築構造設計べんりねっと』は建築の構造設計に関する有益な情報を何処よりも速く、正確に伝えます。また、構造技術の進歩、自己研鑽のための議論を行う場を提供し続けます。

posted by 建築構造設計べんりねっと at 21:37| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム

2018年02月05日

建築構造は日大理工学部がNo.1説

Yahoo!知恵袋で面白い記事を見付けました。

建築構造を学ぶには、日大理工学部建築学科が抜きん出ているとの事です。


書かれている通り、確かに松井源吾賞(現日本構造デザイン賞)は半分以上は日大出身者がしめている。渡辺邦夫、今川憲英、梅沢良三、多田脩二、他多数。





日本で最も学生の数が多い大学だから?

その比率を考えても抜きん出ている。そして、面白いのは、理工学部に限定されると言う事。

日大の建築系学科は、工学部、生産工学部にもある。それが理工学部のみが実績を出していると言う結果になっている。

「建築構造設計べんりねっと」で調査した「構造家、有名構造設計者は一流大学を出ている!?説」を否定されたか。。。


私の廻りにも日大出身者は、たくさん居ます。優秀な人も、普通の人も、そうでない人も。。。

良く言われるのは、日本の会社の社長で一番多いのは日大出身者である。

たんに数だけではなく、建築構造系にもチャレンジ精神が高い人が多いですかね。

今は大学受験の真っ最中!

日大に限らず、建築構造を志す若い技術者を我々は大歓迎します。最後のラストスパート、頑張って下さい。

大学で建築構造を学び、我々と議論しましょう!

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2018年01月09日

構造設計ミス、配慮不足による被害事例データベース

構造設計ミス、配慮不足による被害事例データベースなるものが出来たら、良いと思う。

設計や確認、適判審査の段階である検討の必要性について議論になった時に「そんな被害が出た事があるのか?」と言う人が居る。大きな損傷にならなくとも、ひび割れの発生などは少なくない。

我々、設計者は設計や施工が終わった後に建物を見る機会はない。これらの被害に対しても知らないだけと言うのも多い。また、大きく地震が起きないとその性能も確認出来ない。地震の確率に比べると一人の設計者の経験なんて、たかが知れている。

建築学会でも地震被害報告がされていますが、殆どをしめる民間の建物を調査するのは難しい。場合によっては建築基準法違反にもなる事があるので隠されてしまう事も多い。

地震被害は構造設計者が多くの事を学ぶ機会でもあるので、これが体系的にまとめられていないのは残念である。

日本建築学会にお願いするしかないな。




posted by 建築構造設計べんりねっと at 23:10| Comment(0) | コラム