2019年09月24日

働き方改革。これでいいのか?、構造設計業界!

2018年4月に働き方改革関連法案が可決、成立しました。その後、私達、構造設計者の働き方も変わりましたが、良い方向に向かっているのでしょうか?
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●残業時間の上限規制
●有給休暇の消化義務化
●多様な働き方の実現


確かに子育てや介護などで長時間働く事が出来ない事情がある方も活躍出来る状況は良いことです。

他方、働き方改革の実態は以下のようではないでしょうか。

・労働時間は減りました。(会社、社会が長時間労働を認めない。)
・仕事の量は変わりません。
・仕事の納期も変わりません。






今までよりも短い時間で同じ仕事をこなさないとならない状況です。その結果、どうなったかと言うと、一人一人の能力は急には変わりませんので、何かを削ることになります。

構造設計業務で言ったら、検討項目やチェックの時間を削るしかありません。品質は確実に落ちます。百歩譲って、品質は許せても、安全性を落とす事は許されませんが大丈夫でしょうか?

また、若手技術者の育成、成長の面でもデメリットがあります。
今までは、出来るまで、分かるまで、その設計に取り組む事が出来たのが今は、本人が望もうとも、その時間を与える事は出来ません。
短い時間で仕事を処理出来るベテランにばかり、仕事を廻すしかなくなり、労働時間の削減と共に若手技術者の成長に機会も削減されています。ベテランが多忙になり、若手技術者を育成する時間も削減されています。

労働時間の削減で出来た時間で事故研鑽に励む事も出来るのでしょうが、業務時間外に会社に居る事も許されません。やはり、構造設計プログラムや各種文献のある会社でないと出来ない事も多くあります。

構造設計の若手技術者の方、これでいいのですか?

労働時間短縮を厳しく言われるのは、大きな会社であり、設計事務所では、まだ、変わっていないでしょう。

今後、ゼネコンやハウスメーカーなど大きな会社の構造設計技術者は、設計事務所の技術者と大きな技術力の差がつくのでしょう。

労働環境が大きく違うと思うと、設計事務所を希望する若手技術者も減っていく可能性もあります。

今後の日本の構造設計業界が心配です。

posted by 建築構造設計べんりねっと at 22:10| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム

2019年09月02日

構造設計もYouTubeで修得する時代へ

26歳、女性の構造設計系ユーチューバーたぬきさんへのインタビューの中でたぬきさんが、言っていたこと。

「学校やセミナーなどの“ハコモノ”に通う時代はもう終っている、と大学のときから思っていました。今は”学びはYouTubeで”という文化が根付きつつあります。」
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http://arc-structure.sakura.ne.jp/interview01.htm

これを聞いて、どう思いますでしょうか?特に年輩の方は。

「大学に通う必要はないと言うのか?今の若い人達は、やる気が足りない。この先、どうなってしまうのか。我々が若い頃は」

むしろ、逆だと思います。インターネット技術の発達により、構造設計に限らず、技術の習得のスピードが速くなっています。

以前、将棋の羽生名人もそのような事を言っていました。「インターネット技術の発達で様々な知識を得るのが楽になり、若い棋士の成長が速くなっている。但し、本当のトッププロになるには、それ以上の事が必要である。」

まあ、我々、普通の構造設計者は全員が構造家と呼ばれる人になる必要もなく、そこまででも十分です。

他にも例えばスポーツや音楽などでもインターネット技術の発達によって、今まで入手する事が難しかった情報(テクニックやトレーニング方法など)を簡単に得る事が出来、若い世代のうちにトップになる人も増えています。これはYouTubeなどの動画の影響も大きい。





確かに大学と言うハコモノに通う必要もなくなる時代も近いでしょう。動画やネット会議システムのようなもので十分です。
我々が受講している建築士定期講習も既に動画視聴です。

わざわざ、遠方の大学に通わなくても、知識が得られるようになるのは良い事でしょう。大学に通うと言う事は有名大学を卒業したと言うステータスが欲しかっただけかもしれません。

Googleも世界中の人が何処に居ても、最高の知識を学べるようにと図書館の本をスキャンすると言う事業を何年も前から、行っています。

時代は変わったのでしょう。

私自身もインターネットは、ウエブサイトの時代から、動画の時代に変わったと感じています。

私達もこの事を理解する事が若手技術者の育成に必要なのでしょう。 また、この事を理解しないと追い抜かれてしまうかもしれません。

でも、私は、ハコモノのセミナーやシンポジウムみたいな物で有名な先生の話を聞くのが好きです。得られる内容としては動画視聴でも良いのですが、その場に居たと言う、その時間を共有したと言う満足感です。

まあ、若い人が音楽のライブに行くようなものと思って下さい。
posted by 建築構造設計べんりねっと at 07:00| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム

2019年08月12日

“建築ではなく建物”の構造設計をしてますが、何か?渡辺〇夫さん。

 品川区で開催されている建築構造のイベントで流されているインタビュー映像で某有名構造家の渡辺〇夫氏が以下のような事を語っていました。

構造設計者には、建築の構造設計をする人とただの建物(不動産屋的な)を構造設計するだけの二種類がいる。構造家は不動産屋的な仕事はしない。
構造設計業界は二重構造となっている。これは問題である。この問題を誰も取り上げない。


 氏によると収益性を第一にマンションやテナントビルの構造設計は不動産屋的な仕事で芸術性の優れたものを“建築”と呼ぶのだろう。
 氏からすると私も『不動産屋的なただの建物』の構造設計をする構造設計者だ。マンションの構造設計をして何が悪い、デザイン性はそれほど高くなくとも居住のためのスペースを安価に求めたいと思う人はたくさんいる。その人達のために構造設計を仕事として、行っている自分を不幸だとも思った事はない。
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 この発言の真意は判らないが、気分は良くない。

 私の家の近くに某有名建築家が設計した公共施設(建て替え工事)がある。奇抜なデザインであり、オープン当初は国内だけでなく、海外からも視察で多く建築関係者が来ていた。構造形式も複雑であり、構造技術者には面白いものである。

 しかし、住民の評価は高くない。「使えるスペースが狭くなった。階段が急であり、子供に優しくない。税金を使って、あんなものを。。。」

 私は芸術性の高い建築よりも利用者が喜んでくれる建物の構造設計をしたい。




posted by 建築構造設計べんりねっと at 08:54| Comment(1) | TrackBack(0) | コラム