2023年01月28日

構造設計業界2024年問題!

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建設業界2024年問題とは


 建設業では2024年問題と言うものが話題になっています。





 労働基準法改正による建設業の残業上限規制が2024年4月から施行されるのです。これによると労働時間は1日8時間、週40時間となり、残業時間には上限があり、最大でも月45時間、年360時間となります。また、建設現場には週休二日が推奨されており、多くの建設会社がこれに従う事になります。

 通常、建設現場は朝8時から夕方17時までの8時間で土曜日も稼働しています。よって、週48時間勤務となります。となると週に8時間、月にすると32時間となりますがデスクワークと違い、夜間は仕事が出来ません。
 これが週休二日となると作業時間が減る事になるのです。つまり、建設工事の工期が今までよりも長くなります。




 建設工事の単価についてはどうなるか不透明です。上がった場合は建物の価格が上がります。変わらない場合は建設会社の利益が減ってしまいます。

 さて、どうなるか。。。

構造設計業界への影響


 構造設計業界にはどのような影響を与えるでしょうか?





 建設工事の工期が伸びると言うことは、土地を取得した場合の金利が増えることになります。日銀は金利政策の現状維持を表明しましたが、今後、どうなるかは分かりません。工期が伸びる事は建設投資においてはマイナス要因です。
 人目に付く建設現場を休みなしで動かすことは出来ません。土地取得から竣工までの時間を今までと同等にするには設計期間を短縮するしかありません。今後、構造設計に対しても短納期での依頼が増えるでしょう。

 建築設計業界も長時間労働が問題となっている業種です。労働基準法改正は設計事務所にも適用されますが、小さい事務所は厳格に適用してはいません。より負担が増えるものと思われます。

短納期では経済的な設計は出来ない


 目先の工程、金利負担だけを考え、構造設計の期間を少なくするとどうなるか。

 構造設計とは部材サイズ(断面)、配筋等を仮定し、構造計算で確認。NG部分の補強、余裕がある部分の削減の繰り返しを行い、全てがOKとなる状態を作り出す作業です。これには数十回、数百回の繰り返しが必要ですあり、その分、時間が掛ります。

 つまり、時間が少なくなれば経済的な設計が難しくなります。

 無理な納期を押し付ける事は建設工事価格が上がってしまうことを理解してもらいたいものです。
posted by 建築構造設計べんりねっと at 19:42| Comment(0) | TrackBack(0) | レポート

2022年09月26日

構造一級の定期講習はどちらで受ける?会場受講orネット受講?

 ご存じの通り、構造設計一級建築士の定期講習は(株)確認サービスと(財)建築技術教育普及センターの2機関のみで行われています。皆さんはどちらで受講されていますでしょうか?
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講習費用は確認サービスの方が安い!


 それぞれの機関の定期講習の概要は以下となります。

財団法人 建築技術教育普及センター
講習会場:札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡、オンライン講習
講習費用:16,500 円(税込み)※オンライン講習は15,400円(税込み)
講義方式:映像(DVD)講習

株式会社 確認サービス
講習会場:北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知(名古屋、岡崎、一宮)、静岡(静岡、浜松、沼津)、新潟、石川、大阪、兵庫、愛媛、福岡、熊本、オンデマンド講習、インターネット講習
講習費用:14,000円(税込み)
講義方式:映像(DVD)講習




 確認サービス社が修了考査も自宅または勤務先でネット受講が可能な「インターネット講習」を開始したのに続き、建築技術教育普及センターも同様の形態である「オンライン講習」を開始しました。現在では、どちらの機関でも世界中のどこからでも定期講習(ネット受講)が受講可能です。

 費用は確認サービス社の方が若干、安くなっています。講義方式はどちらも動画による講習であり、金額差分の質、サービスの違いは感じられません。費用で選ぶなら、確認サービス社です。しかし、シェアが100%と言う訳ではありません。

構造設計一級建築士定期講習の受講シェアは?


 構造設計一級建築士定期講習の受講シェアを調べましたところ、以下となっています。
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 令和3年度の11月〜3月においては、確認サービス社のシェアが67.7%となっています。
 クレジットカード決済、オンデマンド講習や修了考査も自宅でできるインターネット講習をいち早く導入し、利便性が高いためと思われます。

 令和4年度はどうでしょうか。建築技術教育普及センターもオンライン講習を開始しました。しかし、4、5月の受講者は合計でわずか6名のみ。このまま、確認サービス社が圧倒的シェアを取ってしまうのかと思うと6月には建築技術教育普及センターが増え、7月は逆転しています。




会場での講習を望む構造設計者も多い!


 令和4年度において、建築技術教育普及センターの4、5月の受講者が少なく、6、7月が増えた理由は4、5月は会場での講習がなかったためです。つまり、インターネット講習、オンライン講習ではなく、会場での講習を希望する人も多いと言うことです。

 理由としては、「ネット受講では集中できない。せっかくお金を払うなら、会場で集中し、受講したい。」、「ネット受講は不安。。。」と言うところでしょう。

あなたの県はこちらの機関がおススメ!


(株)確認サービスと(財)建築技術教育普及センターの構造設計一級建築士定期講習の受講会場がある都道府県、会場受講の場合、どちらの機関がおススメかを以下にまとめました。
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とは言え、沖縄(→福岡)、青森(→仙台)、秋田(→仙台)は交通費が片道1万円以上かかるので、さすがにネット受講の方が良いでしょう。
posted by 建築構造設計べんりねっと at 20:29| Comment(0) | TrackBack(0) | レポート

2022年08月19日

『サザエさん』磯野家を最新耐震基準で構造設計をしてみた。B〜構造計算プログラムに入力する

 いよいよ、磯野家を構造計算プログラムで構造計算します。使用するプログラムはKIZUKURIです。

偏心率がNG!


 平屋建てで間崩れもないので入力は簡単です。もちろん、建築主は磯野浪平様。
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 入力が完了し、計算を流してみたら、偏心率がNG!水平構面がアウト!のメッセージが。
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 Y方向偏心率が0.474となっており、このままでは建築基準法上、木造は不可となってしまいます。西側に耐力壁が偏在していることの影響です。水平構面がアウトになっているのも、この耐力壁の影響です。
 まずは偏心率と水平構面の調整を行うこととします。

プランの改善提案を行う。


 壁量については十分に余裕があるので西側外壁の合板耐力壁を一部、耐力に見込まないとの方法もありますが、数字のお遊びになってしまうので別の方法を考えます。重心位置は建物形状に依存するため、調整は出来ません。となると建物東側に耐力壁を増やすしかありませんが、全体的に壁量が増え、不経済です。

 そこで以下の提案を行い、改善を行う事とします。

・浴室の北側の開口を西側に移動する。
 この部分の開口は台所の勝手口の隣にあります。この勝手口は三河屋のサブちゃんも利用するのです。ワカメちゃんがお風呂に入っている時に覗かれてしまう恐れがあります。意匠的にも浴室の開口は西側にあった方が良いでしょう。

・トイレに開口を追加する。
 トイレも換気のための開口があった方が良いでしょう。


 結果はY方向偏心率が0.299とギリギリですがクリアしました。水平構面についてはまだ、Y方向がアウトです。また、北面に耐力壁を増やしたことでX方向もアウトになってしまいました。

 これは内部に耐力壁を追加し、調整する事とします。
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磯野家、上部構造設計完了!


 残りはKIZUKURIの自動計算で構造計算完了です。

【屋根伏図】
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【梁伏図】
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※梁幅は105mm

 柱は全て105×105(ホワイトウッド集成材 E95-F315)、金物はコチラになります。

 これで上部構造の設計が完了です。必要な耐震性に対し、1.4倍の余裕がありますので、これでサザエさん一家も安心です。

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posted by 建築構造設計べんりねっと at 07:53| Comment(0) | TrackBack(0) | レポート