興味ある記事を見付けました。
構造設計事務所を買収。戦略として“総合設計”を目指す建築設計業のM&Ahttps://www.ondeck.jp/library/interview/15348 1973年に創業し、施工図作成を行う「生産設計」を中心に事業を展開している池下設計が構造設計事務所を買収しました。買収(M&A)の目的としては総合設計を目指す事業戦略であり、2019年の蒼設備設計買収に続き、構造設計事務所である
創建設計事務所をグループ化しました。
構造設計事務所を買収、売却できるのですね。構造設計事務所のM&A、買収、売却について考えてみます。

構造設計事務所を買収するのはどんな会社?
どのような会社が構造設計事務所を買収するのかと言うと、池下設計のような
総合設計化(事業拡大)を考える会社や
構造設計技術者の確保を確保したい中小の建設会社があります。
その他の事例としては鋼管杭メーカーである三誠が2016年、ケイ・ニーイチ設計を買収し、
三誠エンジニアリングと名称を変えています。これは鋼管杭G-ECSパイルの販売拡大が目的でしょう。
構造設計事務所を単純な投資目的として、買収する会社は考えづらく、買収するのは建設関係の会社に限られるでしょう。
売却側(構造設計事務所)のメリットは?
売却側(構造設計事務所)のメリット、考えとしては以下があります。
●事業継承 多くの中小、零細企業が後継者が居ないことを深刻な課題とし抱えています。設計事務所においても後継者不在により、事業継承が出来ないケースがあるそうです。
構造設計事務所に必要なのは優秀な経営者よりも優秀な構造設計技術者です。数人の所員が居る事務所であれば社長(代表者)が引退しても、番頭クラスの人が後を継ぐでしょう。事業継承として売却を考えるのは所員一人、二人の小規模事務所に限られます。
●事業の先行き不安 事業の先行き不安から売却を考えるケースもあるそうです。設計事務所は大きな投資も必要でなく、在庫を抱えることもありません。負債を抱える原因としては業務量(受注)減少による人件費、家賃の負担です。
通常であれば大きな負債を抱える前に解散又は所員の解雇をしてしまいますが、このような状態になる前に売却を考えるケースがあります。
●売却利益の獲得
引退を考え、老後資金の確保を目的に設計事務所が売却されるケースです。
構造設計事務所はいくらで売れる?
構造設計事務所を売却する場合、どのくらいの金額になるかですが、上場会社(公開会社)ではないので市場で株式を売買することは出来ませんので個別の交渉となります。
中小企業のM&Aでよく利用される年買法と言う計算方法によると以下となります。
会社の売却金額=純資産+営業利益の3年〜5年分 構造設計事務所の資産としては構造計算ソフト程度でしょう。営業利益は会社規模によりますが、多くても売却額は5000万円程度でしょう。IT企業のように莫大な売却益を得ることは出来ません。
尚、小規模事務所の場合は構造計算ソフトのライセンス料金の50%程度でしょうか?
どのような事務所が売れる?
売却できる構造設計事務所にも条件があります。
●安定した受注先を確保している まずは構造設計事務所の利益の基となる安定した受注先を確保していることです。過去の売上実績が根拠になります。
●確かな技術力を保有している 構造設計事務所の利益の基は「人・技術力」です。「人・技術力」の評価方法として、まずは技術者数です。三誠エンジニアリング(旧ケイ・ニーイチ設計)は7名、創建設計事務所は9名の技術者が居ます。買収側の目的を考えるとこの程度の技術者数は必要でしょう。
技術力の評価として過去の設計実績も重要です。大手の会社から多くの依頼を請けている事務所は信頼度の高くなるでしょう。
posted by 建築構造設計べんりねっと at 08:31|
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