2023年02月18日

インフレ、物価高!構造設計事務所の給料は上がるか?

 インフレ、物価高が進む中、政府から賃上げ要請が出されています。大企業各社においては春闘が活発になってきました。しかし、中小企業においては原材料高騰の影響で十分な利益が上げられず、賃上げに対し、無い袖は振れない状態です。
物価高.jpeg

では建築設計事務所、構造設計事務所はどうでしょうか?構造設計事務所の給与の元のなるのは言うまでもなく、設計料です。設計料が上がらないと所員の給与も上がりません。





公共工事の設計料上昇は期待できる


 国土交通省は2月14日、公共事業の積算に用いる設計業務委託等技術者単価を発表しました。設計業務は7.1%の上昇となっています。
https://www.decn.co.jp/?p=150253

 公共工事の設計については設計料が上がるでしょう。入札が伴うものもありますが、最低制限価格が上がります。政府が賃上げを要請する中、無理な金額を押し付けることは出来ません。

民間工事は。。。


 では民間工事の設計はどうでしょうか。

 構造設計事務所のクライアントの一つであるゼネコン、住宅メーカーは売上は増加しているのもの、資材高騰分を販売価格に転嫁出来ておらず、厳しい状況です。ここも無い袖は振れない状態です。当然、外注設計料を抑えることを考えます。

 では、デベロッパー等はどうかと言うと、経済状況に関わらず、常にコストダウンを厳しく、要求します。ここも期待が出来ません。

 政府がいくら賃上げ要請をしても、大企業に対し、下請け事業者からの値上げ要望に応じるようにとの指導を出しても変わらないでしょう。設計事務所のように原材料を仕入れる事がない業種は値上げ交渉が難しいものとなっています。

設計料を上げるには。チャンスは2025年


 日本は長くデフレが続き、給料は30年以上、変わっていないと言われています。当然、建築の設計料の変化がありません。但し、構造設計料については2005年に発生した耐震偽装事件、2007年の建築基準法改正による業務量の増加、構造設計事務所の不足により、構造設計料が高騰しました。以降はまた、変化がありません。



 技術者である構造設計者はネゴシエーションは得意でなく、価格交渉も十分に行っていないでしょう。特に長い付き合いのあるクライアントに対しては単価が変わっていないと思います。せいぜい、気が付かれない程度に少しずつ上げる程度です。

 ではどうすれば良いか!

 一つのチャンスは2025年に予定されている建築基準法改正です。

 4号特例が縮小され、構造設計業務が増えます。もちろん、メインは木造です。しかし、木造の業務が増えることで非木造の建物も少なからず、影響を受けます。
 
 クライアントは構造設計を受託してくれる構造設計事務所を探すのに苦労する事になり、今までに付き合いのない事務所にも声を掛ける事になります。この時に思い切って、高い単価、設計料を提示する事が重要です。法改正の直後においては特に混乱し、発注側も受けざるを得ません。以降はこの単価が基準になり、安定した売上を得ることが出来ます。当然、設計内容は十分な品質のものとする必要があります。





 インフレ、物価高がまだ続くと思いますが、それまでは我慢です。2025年はその後10年程度を見据えた値上げをしましょう。
posted by 建築構造設計べんりねっと at 10:42| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム
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