2022年10月27日

ロシア・ウクライナ情勢、円安の影響で構造設計料が上がる!?

ロシアによるウクライナ侵攻、また、円安の影響で様々な物の価格が高騰しています。消費者物価指数は今年、3%程上昇となっています。
price-increase_16307.png

専門工事業者は実は儲けている


 建設業界においても住宅価格、建設価格が上昇しています。各種専門工事業者は原材料、原油価格の高騰による運搬コスト増を理由に工事費を上げています。これに対し、ゼネコンや住宅メーカーは行政からの指導があり、一方的に価格を押し付けることが出来ないのです。
 では、これら下請事業者が苦しんでいるかと言うとそうでもなく、過去最高益を出してしまう所も少なくありません。




構造設計料は変化なし、実質マイナス!!


 では構造設計料はどうでしょうか。

 構造設計料はどうかと言うと全く上昇していません。今年どころか10年程度変化なしです。当然、所員の給与も変化なしです。しかし、物価上昇を考えると実質3%程度の減少です。
 これを理由に依頼先に設計料アップを相談しても「給与が上がらないのは、うちの会社も同じ。と言うか日本中の会社がそうだ。だから、設計料は上げられません。」と言われるのが落ちです。
業務にあたり海外から何かを購入している訳でもないので円安は理由に出来ない。資材、燃料費アップも関係ない。せいぜい電気代の上昇分くらいでしょうか。

 そもそも、構造設計事務所はがめつい人が少なく、交渉すらしないのが殆どでしょう。



構造設計料の適正価格は?


 皆さんは構造設計料の適正価格を把握していますでしょうか?
「あの会社は○○円しかくれない、この会社は何故か○○円もくれる」と適正価格が分からないのが実状でしょう。
 発注側も理由も分からず、「この事務所は○○円、あの事務所は○○円出さないとやってくれない。」となっています。最初に取り決めした価格が長い期間変わらないのです。
 構造設計の品質(設計者の能力)で設計料の差が出るなら、納得するが必ずしもそうではないと思います。
 もちろん、受注側は少しでも高い会社の仕事を優先し、発注側も少しでも安い事務所に発注します。しかし、どちらも仕事量の関係で二番目、三番目との仕事をせざるを得ないのが現実です。

インフレ時代に構造設計料を上げるには!


 このインフレ時代を生き抜くために構造設計料を上げるにはどうすべきかを提案します。

 各構造設計事務所が設計料(単価、価格表)を開示することです。

 それでは金額の叩き合いになるのではと思う人も居るかとは思いますが逆です。新規の顧客を得るためには安く出した方が良いのですが、既にいくつかの顧客を抱えている事務所は一番高い単価を記載するでしょう。そうすれば、「うちの仕事の時は何故、設計料が高いのか?」との苦情も来ません。
 次に他の事務所の単価を見た別の事務所は下げようと思うよりも「他の事務所がそれだけ貰ってるなら、うちも上げよう」となるはずです。

 このようにして相場が形成されます。こうなると大企業のゼネコン、ハウスメーカーなどは下請法の関係があり、無理に単価を下げることは出来なくなります。
 建築工事の単価(手間代)などは物価本などで出されているため、大きく下げられることはありません。ガソリン価格にしても高いと文句を言う人も少なく、仕方ないよねとなっています。このような状態にすることで価格の納得感も出るので通りやすくなります。

 不透明であった設計料を明確にすることで守られるのです。

 もちろん、技術力に自信がある事務所は実績を示し、単価を上げることも出来ます。




posted by 建築構造設計べんりねっと at 20:44| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/189889448

この記事へのトラックバック