2022年01月15日

4号特例に関する改正(縮小)の影響は少ない。

 昨年末、4号特例の縮小案に対するパブリックコメントが出されました。この内容を再度、まとめると以下になります。

≪現 状≫
・4号建築 ⇒ 建築確認での構造審査なし
・階数2以下かつ延べ面積500u以下 ⇒ 構造計算不要


≪改正案≫
・階数2以上又は延べ面積200u超 ⇒ 建築確認での構造審査あり
・延べ面積300u超 ⇒ 構造計算対象


 過去に出された四号特例廃止案は住宅業界の猛反対で実現しませんでした。パブリックコメント(意見募集)は1月7日に締め切りとなりましたが結果はどのようになるのでしょうか。



●反対派の意見は


 4号特例の改正に対して反対する人の意見は以下です。

@構造設計技術者の不足による供給量の減少
A建築確認の審査担当者の不足による建築行政の遅延、停滞
B構造検討による仕様アップに対するコスト増


 これを検証します。

4号特例改正による処理能力の影響は全く問題ない


 国交省資料によると今回、構造基準が強化される規模は木造建築における2.7%であり、4号建築物の中では3.7%です。
FG2G4gcaIAAWutI.png

 確認申請交付件数統計(令和2年)によると4号建築が77.0%(421,866)、1〜3号建築が20.4%(111,524棟)です。この改正案によると構造審査が増える件数は15,600棟となり、構造審査が増える割合は12%です。確認申請交付件数は減少傾向であり、10年前と比較すると40%程度減少しています。

 処理ができなくなるどころか、仕事が減って困っている状況です。つまり、構造設計者、審査担当者の処理能力については何の問題もありません。






 また、300u超えの用途は以下になります。
FG2JSUJaMAIlrpJ.png


 この中で4号特例の対象となっていたのは戸建住宅の17.7%とその他の居住用住宅(賃貸住宅)の一部です。つまり、影響は更に少ない事となります。
 そして、令和2年の建築士法改正(建築士事務所の図書保存の見直し)より、図書は作成されている事となっており、設計者側の負担増は少ないはずです。

コスト増を理由にする会社は強度不足を明言しているのと同じ


 もう一つの反対意見として、構造計算をすると仕様が上がり、建物のコストが上がってしまう。住宅が売れなくなるとの意見です。

 でも、これって、おかしいですよね。

 4号建築においても建築基準法の準拠が不要と言うことではありません。また、500u以下の仕様規定の確認(壁量計算等)も構造計算を簡略化したものです。

 つまり、構造計算をすると建物の仕様、コストが上がってしまうと言う会社は自らの建物が強度不足ですと言っているようなものです。

まあ、構造計算費用、確認申請手数料は増えるでしょうが、せいぜい、20〜30万円程度ではないでしょうか。ウッドショックなど建材価格の変動に比べれば少ないものです。











 
posted by 建築構造設計べんりねっと at 11:08| Comment(1) | TrackBack(0) | コラム
この記事へのコメント
次回の建築基準制度部会合同会議は令和4年1月20日(木)13:00より、開催されます。

https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001459392.pdf
Posted by 建築構造設計べんりねっと at 2022年01月16日 08:58
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