【意見募集(案)】
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000227982

小規模木造における現状の問題点
パブリックコメントの意見募集によると小規模木造における現状の問題点は以下とされています。
- 断熱材や省エネ設備の設置といった省エネ化に伴って、建築物が重量化している。壁量が実態に合わなくなってきており、地震時に倒壊リスクがある。
- 多様なニーズを背景として、大空間を有する建築物が増加しており、積雪時に倒壊リスク等が高まる恐れがある。
- 審査省略制度(四号特例)を活用した多数の住宅で不適切な設計・工事監理が行われ、構造強度不足が明らかになる事案が断続的に発生している。
四号特例を巡る過去の経緯
四号特例を巡る過去の経緯を以下にまとめます。
- 昭和59年(1984年)4月、建築行政職員の体制が限られる中で、建築確認や完了検査が十分に実施できなかったこと等を背景に審査省略制度(四号特例)が導入された。
- 平成21年(2009年)8月、四号特例を廃止すると国土交通省が発表
- 平成22年(2010年)1月、四号特例を当面の間、継続すると発表
- 平成30年(2018)年3月、日本弁護士連合会(日弁連)が四号特例の見直しを求める意見書を国に提出
- 令和2年(2020年)3月、建築士法改正(建築士事務所の図書保存の見直し)、四号建築においても構造計算書(壁量計算等)の保存が義務化
過去にも四号特例の廃止は議論になりましたが、平成19年の建築基準法改正により、建築着工数が大幅に減少し、国交省不況とも呼ばれた事を再度、繰り返すのを恐れ、未だ、実現していません。
建築基準法改正案
パブリックコメントによる建築基準法の改正案は以下となります。
●階数2以上又は延べ面積200u超の建築物は構造安全性の基準を審査対象とする。
●木造建築物のうち、構造安全性の確保のために構造計算が必要となる建築物の範囲を500u超のものから、大空間を有するものも含まれる300u超のものに拡大する。
詳細情報がないため、不明な部分もありますが、階数2以上又は延べ面積200u超は壁量計算等が建築確認の審査対象となる。延べ面積300u超は構造計算の対象となると謳われています。
構造計算対象となるのは”大空間を有するものも含まれる”となっているので、スパン長で決定されるのではなく、300u超えは全て対象となるのでしょう。
国交省は建築基準法改正に踏み切るか?
この案で国交省は建築基準法改正に踏み切るのでしょうか。過去のように建築行政の混乱を恐れ、改正は行わないのでしょうか?
今回の改正案では構造計算対象が300u超となるのもアパート(共同住宅)や老人介護施設等が対象であり、混乱は少ないものと思われます。
また、令和2年(2020年)3月の建築士法改正(建築士事務所の図書保存の見直し)を経ており、申請者(設計者)もある程度、対応の準備が出来ていると考えられます。木造アパート(共同住宅)を扱う住宅メーカーも大臣認定による対応が多く、混乱はありません。
過去の四号特例廃止では業界の反対が多かったことで改正に踏み切れませんでしたが、今回は大手住宅メーカーも賛成に廻ると考えられます。
おそらく、四号特例の縮小は実施されるでしょう。
四号特例縮小を行わないのと筋書きはあるのか?
パブリックコメントを出した四号特例縮小を行わないのと筋書きはあるのか?
「コロナで傷んだ経済、ウッドショックにより、木造建物を扱う会社は経営が厳しくなっている。
脱炭素を実現するには建物の木造化は不可欠。
このような状況下で木造に対する規制強化は必要か?令和2年の建築士法改正(建築士事務所の図書保存の見直し)で十分ではないか」との意見を待っていると考えられないか。
四号特例縮小のパブリックコメントを出したが、社会の要望により、断念したと。
平成22年(2010年)、国交省は一度、決めた四号特例廃止を無期延期とした。それから、10年が経過し、また、四号特例廃止の声が高まってきた。それを一旦、押さえ付けるための策とは考えられないか。
四号特例縮小に反対するのは規制強化となる木造を扱う会社と国交省か。
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