
Arupは、1946年にロンドンで創業し、現在、世界33カ国、88カ所の事務所を構え、14,000人以上のスタッフを擁する国際的なエンジニアリング会社です。イギリスの構造家であるサー・オヴ・アラップ(1895年-1988年)により、創設されました。
有名な建築物ではシドニーの「オペラハウス」、スペイン・バルセロナの「サグラダファミリア」、シンガポール「マリーナベイサンズ」にアラップが係わっています。

日本に進出したのは1989年、関西国際空港旅客ターミナルビル(設計:レンゾ・ピアノ)のプロジェクトを機に東京事務所が開設されました。以降、豊田スタジアム、モード学園コクーンタワーなど多くの優れた建築物に係わっています。
建設費の高騰で惜しくも白紙になってしまったザハ・ハディド氏の新国立競技場(旧案)もArupがサポートしていました。
構造設計の受賞は圧倒的
日本の構造設計に対する受賞としてはJSCA賞、日本構造デザイン賞があります。この多くをArupの構造設計者が受賞しています。日本最大の設計事務所である日建設計には負けていますが、日建設計が
2000名を超える社員を擁しているのに対し、Arupは100名足らずであることを考えるとその実績は圧倒的です。

多くの構造技術者がアラップへ
このように多くの実績を上げるためには多くの優れた構造設計者が必要です。構造設計者のキャリアとしては日建設計のような組織事務所で上に上がるか、有名事務所を経て、独立をするかだと思いますが、
アラップへ移った構造設計者が多く居ます。それだけ魅力ある会社と言うことでしょう。
- 彦根 茂 :日建設計 ⇒ Arup(1994年)
- 柴田育秀 :類設計室 ⇒ Arup(1996年)
- 与那嶺仁志:構造計画プラスワン ⇒ Arup(1998年)
- 伊藤潤一郎:構造設計集団SDG ⇒ Arup(2005年)
- 笹谷真通 :ゼネコン ⇒ Arup(2000年)
- 谷川充丈 :久米設計 ⇒ Arup(2007年)
※敬称略
尚、金田充弘氏はカリフォルニア大学バークレー校卒業後、城所竜太氏はコーネル大学卒業後にThornton Tomasetti社を経て、與座敏安氏はニューヨーク州立大学バッファロー校大学院卒業後にArupに入社しています。
世界的なエンジニアリング会社だけあって、海外の大学から入社する技術者も居ます。