2020年10月04日

はかま筋とは?その役割、配筋方法

はかま筋とは、どの部分の鉄筋?


 はかま筋とは、独立基礎における上端および側に“カゴ状”に基礎を囲う鉄筋です。(下図参照)
モデル.png

 基礎の下側はベース筋(基礎筋)がありますので、はかま筋は不要です。下側が開き、基礎を覆う形状が“袴”に似ている事から、はまま筋と言われるのでしょう。杭基礎の場合も直接基礎の場合もはかま筋と呼びます。





はかま筋の役割


 ご存じの通り、基礎は建物の荷重を地盤または杭に伝達する部材であり、基礎には下図のような応力が発生します。この役割を担う鉄筋はベース筋(基礎筋)です。
モデル1.png

 はかま筋は基本、構造計算でその鉄筋量を決定するものではなく、基礎コンクリートを拘束、ひび割れを防止するための鉄筋です。通常はD13@300程度を配筋します。

 少し、イレギュラーなケースを紹介します。
 地震時に基礎に引抜力が生じることがあります。この場合、基礎自重または杭の引抜力で抵抗する事になり、下図の通り、基礎の上端にも応力が発生します。はかま筋は基礎に作用する引抜力を処理する役割も担っています。
モデル2.png

 次のイレギュラーな例としては複数本打ちの杭基礎の場合です。杭には地震時に水平方向の荷重が作用し、この反力を基礎で柱、地中梁に伝達させる必要があります。この反力により、基礎には、ねじれが発生し、コンクリート断面のみで処理できない場合は鉄筋で補強を行います。構造図でベース筋と兼ねて、スターラップ状に配筋する指示がある場合がこのケースです。
モデル3.png
 まとめるとはかま筋の役割は以下となります。

  • 基礎コンクリートを拘束、ひび割れを防止する。

  • 引抜力が発生する場合、その力を処理する。

  • 複数本打ち杭基礎の場合、杭からの水平力を柱、地中梁に伝達させる。



  •  引抜力が発生せず、複数本打ち杭基礎でなければ、省略しても構わない鉄筋です。そのような設計もありますが、特に杭基礎の場合は杭頭補強筋の定着力を高める意味でも
    省略しない方が良いでしょう。






    はかま筋の配筋方法


     上記で説明した通り、はかま筋は基本的には応力を負担しない鉄筋です。ベース筋(基礎筋)との取り合いは、水平方向に15dとなっていますが、これは定着や重ね継手ではなく、直筋だと配筋が行いづらいためです。固定出来れば、100mm程度でも良いでしょう。
    重ね継手をする場合も梁の腹筋と同様に15d程度でも構いませんが、引抜力を処理する場合もあるので一般には通常の鉄筋と同じように40dとされています。
    posted by 建築構造設計べんりねっと at 10:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 構造設計メモ
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