
何の広告かと言うとさくら構造と言う構造設計事務所による構造工法の広告です。
さくら構造って、どんな事務所?
さくら構造は2006年に札幌で設立された構造設計事務所です。現在は71名の技術者を擁し、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、福岡、沖縄に拠点を構える構造設計専業事務所としては日本でベスト3に入る大手です。10年余りでこの規模までに急成長した構造事務所です。
さくら構造は設立時より、構造設計事務所としては先進的な取り組みをしています。
今では当たり前ですが、構造図・構造計算書をデータのみで納品するとの遣り方もさくら構造が最も速い事務所の一つであったでしょう。また、コロナ渦で一斉に始めたオンラインでの打合せ。当時から有ったスカイプを利用し、対面ではなく、オンラインでの打合せも行っていました。
さくら構造のWRC8階建てハイウォール工法を調べてみた。
さくら構造のホームページ等で調べたハイウォール工法とは以下の工法です。
まず、限界耐力計算を行っても、WRC造であるため、壁の量が多くなり、プランの自由度は低くなると思われます。
なぜ、8階建てまでなのであろうか。アークデータ研究所のプログラムWRC8の適用範囲が8階建てまでだからか、逆にさくら構造の依頼でWRC8が開発されたのだそうか。ここは不明です。
このハイウォール工法のメリットとしては以下が上げられています。
まず、WRC造であるので耐震性が高くなる可能性は十分にあると思われます。ただでも納まりが厳しいWRC造、施工性が良くなるかは疑問。コストについてもどうなのだろうか。WRC造が安くなるのであれば、5階建て以下のRC造はWRC造が主流になっているはずだが、主流はラーメン構造である。
尚、このハイウォール工法は確認・適判許可の実績はあるものの、実際に建築した事例はまだ、無いのではと思われます。
この記事はさくら構造のハイウォール工法を批判しようとの主旨ではありません。私が取り上げたいのは構造設計事務所が広告を出しているということ。。。
構造設計事務所が広告を出している?
まず、普通の構造設計事務所からすると、構造設計事務所がインターネットに広告を出している事自体に驚くでしょう。構造設計事務所の顧客は構造設計を依頼してくれる意匠事務所、ゼネコン、ハウスメーカー、デベロッパー等です。そして、ハイウォール工法を販売しても、さくら構造には特別な利益はないでしょう。
この広告は誰に向けられたものかと言うとローコストとの言葉に飛びつく意匠事務所やデベロッパーなのでしょう。これにより、さくら構造は構造設計業務を受注する事を目的としている。さくら構造の営業戦略です。さくら構造は技術力が高いとの評価になっていくのでしょう。
先日、ある構造設計事務所と話す機会があり、当社の構造設計をお願いしたいとの旨を伝えた所、その構造設計事務所は以下の回答でした。
「お仕事を頂けるのは有難いのですが、元々、御社の構造設計を多くやっている事務所さんも居るかと思いますので、その事務所さんが対応できない部分で協力させて下さい。」
私の知っている多くの構造設計事務所は、このように積極的に営業は行わない事務所です。
これで良いのでしょうか?
さくら構造を見習った方が良いと思いますが。
タグ:構造設計事務所
準拠しているであろう日本建築学会「壁式鉄筋コンクリート造建物の構造性能評価型構造設計指針(案)・同解説」2010が8階建てまでだからですかね。
と書かれていますね。
ただ日本建築学会の基準に準拠して設計するというだけでは「開発」とは言えないと思いますから、何か新しいことをされているのでしょう。