こんな事を言うと「お前はおかしい!建築構造では座屈は最も避けるべき破壊形式だ。」とのご批判を受けるかと思います。この話は数学の話です。
「数学における最も美しい定理」と言われている数式があります。

e : ネイピア数(自然対数の底)
i : 虚数単位(自乗すると −1 となる複素数)
π: 円周率(円の周の直径に対する比率)
一介の構造設計者である私には、この数式の美しさが全く理解出来ません。ですが、私も知っている事があります。
この数式は「オイラーの等式」と呼ばれています。
そうです。座屈理論のオイラーです。

この式であれば、我々構造設計者も知っています。E:ヤング係数、lk:座屈長さ、I;断面二次モーメントなど馴染みのある係数があります。
我々、構造設計者が良く知っているオイラーが作った数式が「数学における最も美しい定理」と言われていること、また、数多く居る偉大な数学者の中でもオイラーが二大巨人の一人とも呼ばれていることは、少し嬉しくなります。
座屈と言う現象を考えてみる。言うまでもなく、圧縮を受ける部材でもある荷重を超えると部材が横にはらみ出す現象です。
荷重に偏りが有ったり、部材が斜めになっていれば、このような現象が起きる事は簡単に想像できます。しかし、オイラーの座屈式は単純圧縮部材に対しての座屈理論なのです。構造力学の教科書をひっくり返して、読めば説明がありますが、横方向への微小変形を仮定することでこの式が導き出されます。
座屈が主に問題となる構造種別は鉄骨造です。鉄骨造は他の構造種別と比べて、計算と実験値が精度良く一致します。如何に建物が壊れないように考えるのが構造設計者の仕事でありますが、私は計算と実験値が一致すること、計算通りに壊れてくれることをを美しく思ってしまいます。おかしな話ですが。
そして、この不思議な座屈現象も実験では計算にかなり近い値で発生します。
これって、美しくないですか?
≪参考≫
ウィキペディア(Wikipedia)より
・オイラーの等式
・レオンハルト・オイラー
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