2020年01月19日

アメリカの数学者、データサイエンティストであるキャシー・オニール女史の著書「AI、ビックデータの罠」から、構造設計AIについて、考えてみる。

 アメリカの数学者、データサイエンティストであるキャシー・オニール女史の著書「AI、ビックデータの罠」から、構造設計AIについて、考えてみる。
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AIは成功の定義者により、結果が変わる
 オニールさんによるとAIとは成功に導くパターンをデータ分析により、探しだす仕組みです。
ここで、その成功の定義を誰がするかが問題だと指摘している。

 例えば、料理の献立を考えるAIがあったとする。母親であるオニールさんは息子に野菜を多く食べさせたい。だが、息子は甘いものが大好きで野菜よりもお菓子を食べたい。しかし、キッチンでの絶対的権力は母親(=成功の定義者)にあり、息子君にとっての成功は叶わない。

ビックデータ分析からの間違った判断
 データ分析について、考えてみる。犯罪を少なくすることを目的にデータ分析をしたら、ある人種が多く住むエリアが多いとの結果になったので、そのエリアの警備を強化したら、その人種の検挙率があがった。本当は、犯罪率は人種に関係ないにも関わらず、そのエリアのみ警備を強化したため、検挙数が上がってしまった。
 しかし、この分析による判断が正しかったとの結論をしてしまう事がAI、ビックデータの罠。



構造設計AIはどんなものになるのか?
 構造設計AIについて、考えてみる。あるメーカーが開発、販売している構造設計AIにて、構造設計を行った。意匠屋さんはある部分の梁せいを600mmで抑えて欲しいと考えている。しかし、構造設計者である私は計算でOKだったとしても、ここまで絞るのは許せないと考えている。構造設計AIの出した結果は600mm。意匠屋さんは満足だが、私は納得がいかない。

 設計前に最小梁せいを650mmと私が指定したら、それはAI、最適解なのか?

 構造設計に関する考え方も様々な研究者が居て、これが絶対と言うほど確立はされていない。その中で多くの人が正しいと思う設計法が基準法などのスタンダードになる。
ビッグデータの分析から、構造設計を考えるとしたら、より多くの構造設計者、審査機関担当者が行う方法が正しいと判断される。
 平成19年の基準法改正で混乱してた時、建築構造設計べんりねっとの掲示板で、「こんな指摘をされた。」と誰かが書き込むとその指摘が増えるとの事が起きた。AIは、これもスタンダードと判断してしまうのか?

キャシー・オニール氏が言うように構造設計もAIに頼るだけではなく、それを理解しないとならないと言うことだ。


タグ:ai
posted by 建築構造設計べんりねっと at 21:22| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム
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