2019年10月23日

構造の経済設計「配筋の増やし方を知る」

 次に簡単な構造の経済設計手法は「配筋の増やし方」です。

 柱や梁の主筋は径と本数の組み合わせになり、検定比を見ながら、1本づつ調整が出来ますので大きく変わることはありませんが、ピッチで指定するスラブや梁スターラップ等はその増やし方により、数量に与える影響は少なくありません。なんとなく決めている組合せをコストを算定してみれば、経済的な選定が出来ます。

1.スラブ配筋の組合せ、増し方

 スラブ配筋を決定するにあたり、クリティカルになるのは主筋方向の上端筋です。下端筋は計算外で決定されている事が多いと思います。また、施工性のために上下の配筋は同じピッチか倍ピッチとします。

 以下に各スラブ上端筋の鉄筋量、下端筋との組合せ、1uの金額の一覧を示します。尚、複筋比は0.40%以上となるようにしています。また、施工時のスラブ筋の乱れ防止のために最低配筋はD10,D13@200としています。
スラブ.png

 例えば、上端筋がD13@100となる場合、下端筋をD13とし倍ピッチ、D10で同ピッチが考えられますが、D13倍ピッチの方がコスト的に有利になります。また、D10,D13@125、はD10,D13@100の配筋は下端筋との組合せを考えると上端筋をもう1ランク上がてしまった方が経済的になります。
 その他、上端筋を125ピッチ、下端筋を倍の250ピッチとする組合せも使用しましょう。施工時にスラブの上を歩く時は主筋方向上端筋の上に乗るのが現場の基本です。下端筋はスラブ筋の施工時の乱れには影響しません。
 また、通常はD13@200で足りないとD13@150に上げるかと思いますが、鉄筋量ではその間にD10,D13@150があります。D13@150とは、175円/uの差がありますので積極的に使用しましょう。配筋の手間が気になりますが、D10,D13@200は普通に行いますのでそれほど手間は増えません。鉄筋屋さんも慣れたものです。

 以上をまとめると上記表の灰色の部分を除いて、順番に増やしていくと経済的なスラブ筋の選定が出来ます。

 尚、配力筋も最低配筋をD10@200ではなく、D10@250とすると1u当り、136円の差が出ます。コスト比較例の建物全体では577,722円の差が出ます。

136円/u×42.0m×14.5m×7層 = 577,722円

 こちらもスラブ筋の乱れを気にする方も居るかと思いますが、上で説明しましたように施工時に乗るのは上端筋ですし、養生のために通路にはメッシュが引いてあります。特に問題はありません。




2.梁スターラップの増やし方

 次に梁スターラップの増やし方を考えてみましょう。通常は200ピッチ、150ピッチ、125ピッチ、100ピッチと増やし、100ピッチで足りない場合は3-D13@100、4-D13@100と中子筋を増やしていく方が多いと思います。

 ここでスターラップの加工形状を見てみましょう。せん断補強として機能するのは縦方向の鉄筋です。上下の横方向の鉄筋は閉鎖型とするためのせん断補強として機能しない部分になりますが、スターラップのピッチを増やすとこの機能しない部分の鉄筋量が増えます。中子筋は全てが機能する鉄筋です。
中子.png


 以下にスターラップの組み合わせとせん断補強筋量(cu)、1m当りの金額を示します。金額は梁断面を 550×800、地中梁を想定した550×2000で比較しました。
STP.png

 せん断補強筋量としては、2-D13@100、3-D13@150、4-D13@100も同じ25.40cuです。しかし、上下部分の鉄筋量の差があるのでコスト的には4-D13@100が一番有利になり、1m当り、609円の差が出ます。コスト比較例の建物でX方向の梁に対して、考えると約30万円の差が出る事になります。
609円/m×42.0m×2×6層 = 307,036円

 以上をまとめると上記表の灰色の部分を除いて、順番に増やしていくと経済的な梁スターラップの選定が出来ます。
 尚、梁せいが大きくなり、幅とせいの比が2倍以上となると逆転する部分がありますので注意して下さい。

≪まとめ≫
●スラブ配筋はD13@200の次はD10,D13@150を使用する。
●スラブの主筋方向下端筋及び配力筋は250ピッチを使用する。
●梁スターラップは、ピッチを増やす前に中子筋を増やす。







さて、まずは簡単な経済設計手法から、スタートしました。特別な知識、技術も必要なく、こんな簡単な事で100〜200万円のコストを下げる事が出来ます。手間もかかりません。是非、実施すべきです。
大切なのは、どちらを採用するかと考えた時になんとなくではなく、コスト比較を行う事です。

P投げ銭!

posted by 建築構造設計べんりねっと at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済設計手法
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