2019年10月20日

構造の経済設計「最低配筋、計算外配筋の決定方法」

 構造の経済設計手法の一つとして、最も初歩的な手法は「最低配筋、計算外配筋の決定方法」です。
鉄筋コンクリート造の各部材については日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準(RC規準)」で最低配筋が定められています。
この“最低配筋、計算外配筋”をなんとなく決めていませんか?本当に必要最低限の配筋となっていますか?

各部材の最低配筋を見直してみましょう。




 尚、コスト差が判りやすいように以下の建物を想定し、試算してみます。
≪コスト比較例≫
構 造 :鉄筋コンクリート造
階 数 :6階建て
用 途 :共同住宅
階 高 :平均 3.0m
床面積 :約 3,700u
総建設費:9億3,000万円
コスト比較プラン.png

1.壁配筋:最低配筋 Pw=0.25%以上
 RC規準では壁のせん断補強筋比 Pw=0.25%以上となっています。壁厚150mmの場合、D10@250ダブル配筋でPwは0.379%になります。
 なんとなく、D10@200としたり、壁厚が上がるにつれ、配筋を増やしていませんか?以下、各壁厚の最低配筋と各配筋の金額の一覧を示します。
 壁配筋.png

 壁厚200mmでも、D10@250ダブル配筋でPwは、0.25%以上となります。マンションでは遮音性の問題で構造耐力上で必要な壁厚以上となっている事が多いので、最低配筋で足りる事も多くあります。

 コストの比較をしてみましょう。D10@250とD10@200では1u当り、271円の差が出ます。コスト比較例の建物でY方向を全て、耐震壁とした場合、約30万円の差が出る事になります。
271円/u×11m×(3.00-0.60)m×7枚×6階 = 300,529円
D10@150で約80万円、D13@200で約150万円もの差になります。

 尚、RC規準ではチドリ配筋とした場合、300ピッチ以上ですので、ここまで許容すれば更にコストは下がります。

2.梁配筋:主筋0.80%以上、スターラップ0.20%以上

 梁主筋については、柱梁接合部の検討や保有水平耐力検討の崩壊形に影響するので不要に増やす人は少ないでしょう。また、最低配筋で決まる事も少ないですが、計算外で決定する耐震壁付き梁に着目しましょう。

@主筋
 以下に梁断面ごとの最低配筋と金額の一覧を示します。
 耐震壁梁主筋.png

 3-D19と3-D22では、1m当り578円、3-D19と3-D25では1,266円、3-D22と3-D25では688円の差が出ます。尚、3-D19で不足する場合に3-D22ではなく、4-D19とすると鉄筋量は減りますが、圧節数が増える事で金額は逆転してしまいます。
 建物全体でコスト比較してみますと以下になります。
・D19とD22の差
 578円/u×11m×7本×6階 = 267,165円
・D19とD25の差
 1,266円/u×11m×7本×6階 = 585,058円

 尚、耐震壁付き梁の梁せいは取り付く小梁せいに影響しますが、梁せいが大きくなると不要に鉄筋量が増えてしまう事があるので注意が必要です。特に鉄筋量が切り替わるせいの変更は注意しましょう。

Aスターラップ
 以下に梁幅ごとのスターラップの最低配筋と金額の一覧を示します。
 STP.png

 D10@200で足りるものをなんとなく、D10@150とすると1m当り103円、D13@200とすると261円の差が出ます。建物全体では47,479円、120,656円の差になります。少ないように思えますが、性能の差は出ない部分なので、このコストには拘るべきです。経済設計とするには積み重ねが重要です。

 尚、梁幅400mm以上となるとD10@200ではPwが0.20%を下回るため、配筋を上げなければなりませんが、D13を使用するよりもD10でピッチを細かくした方がコスト的には有利です。

≪まとめ≫
●計算外配筋は、なんとなくではなく、必要最低限で決定する。
●耐震壁の配筋は、D10@250から、スタートする。



P投げ銭!
posted by 建築構造設計べんりねっと at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済設計手法
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