
岩手県の釜石市民体育館において、22年3月16日に発生した福島県沖地震、その後の余震で鉄骨屋根を支える小屋組のボルトが破断し、落下するとの被害が発生しました。市の事故調査委員会では原因は「施工ミス」とされました。しかし、責任は監理者にも及び、施工会社と設計・監理者を行ったパシフィックコンサルタンツにて、補修工事の費用を負担することになりました。
23年4月6日 岩手 NEWS WEB
https://www3.nhk.or.jp/lnews/morioka/20230406/6040017301.html
23年5月18日 日経クロステックの記事
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/01759/?n_cid=nbpnxt_twbn
23年3月に発覚した大成建設による札幌市中央区で建設中の超高層ビル「札幌北1西5計画」の施工不良について、工事監理者であった久米設計は自社には責任がないのと見解を出しました。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/01722/
これはどうでしょうか?
確かに工事監理者は現場に常駐し、全数チェックを行うことは出来ないでしょう。しかし、発注者であるNTT都市開発の担当者はこれに気付いた。
それでは工事監理を発注する意味がありません。結果として、発見できなかった久米設計にも責任があるのではないでしょうか。このケースにおいては大成建設が再工事の費用負担の一部でも久米設計に請求するなど、恥知らずな事はしないですが、久米設計に対する信頼は低下しています。
少し前の事ですが、レオパレス社による施工不良問題でも建築士資格の剥奪などの処分は工事監理者に対してのみであり、施工者(工事部門)に対する処分は一切ありません。
心ある構造設計者は確かな品質を確保するために工事監理を含まない構造設計の依頼は受けない人も居ます。構造設計料に対し、工事監理の比率は低いものでしょう。サービスのように思っている発注者も居るでしょう。
このように考えると工事監理はリスクの方が圧倒的に大きいように感じます。他社の構造設計の工事監理だけを行う業務などは尚更です。