
建設業界2024年問題とは
建設業では2024年問題と言うものが話題になっています。
労働基準法改正による建設業の残業上限規制が2024年4月から施行されるのです。これによると労働時間は1日8時間、週40時間となり、残業時間には上限があり、最大でも月45時間、年360時間となります。また、建設現場には週休二日が推奨されており、多くの建設会社がこれに従う事になります。
通常、建設現場は朝8時から夕方17時までの8時間で土曜日も稼働しています。よって、週48時間勤務となります。となると週に8時間、月にすると32時間となりますがデスクワークと違い、夜間は仕事が出来ません。
これが週休二日となると作業時間が減る事になるのです。つまり、建設工事の工期が今までよりも長くなります。
建設工事の単価についてはどうなるか不透明です。上がった場合は建物の価格が上がります。変わらない場合は建設会社の利益が減ってしまいます。
さて、どうなるか。。。
構造設計業界への影響
構造設計業界にはどのような影響を与えるでしょうか?
建設工事の工期が伸びると言うことは、土地を取得した場合の金利が増えることになります。日銀は金利政策の現状維持を表明しましたが、今後、どうなるかは分かりません。工期が伸びる事は建設投資においてはマイナス要因です。
人目に付く建設現場を休みなしで動かすことは出来ません。土地取得から竣工までの時間を今までと同等にするには設計期間を短縮するしかありません。今後、構造設計に対しても短納期での依頼が増えるでしょう。
建築設計業界も長時間労働が問題となっている業種です。労働基準法改正は設計事務所にも適用されますが、小さい事務所は厳格に適用してはいません。より負担が増えるものと思われます。
短納期では経済的な設計は出来ない
目先の工程、金利負担だけを考え、構造設計の期間を少なくするとどうなるか。
構造設計とは部材サイズ(断面)、配筋等を仮定し、構造計算で確認。NG部分の補強、余裕がある部分の削減の繰り返しを行い、全てがOKとなる状態を作り出す作業です。これには数十回、数百回の繰り返しが必要ですあり、その分、時間が掛ります。
つまり、時間が少なくなれば経済的な設計が難しくなります。
無理な納期を押し付ける事は建設工事価格が上がってしまうことを理解してもらいたいものです。