2022年08月18日

『サザエさん』磯野家を最新耐震基準で構造設計をしてみた。A〜略伏図、壁量計算

では早速、構造計算の作業に入ります。まずは略伏図の作成と壁量計算です。




略伏図の作成


 磯野家は平屋なので上下階の形状を考慮しなくて済むので簡単です。

≪梁伏図≫
梁伏図サザエ.png

≪屋根伏図≫
屋根伏図サザエ.png

 私が入手した平面図によると南側の縁側部分は7,280mmの開口となっています。7,280mmを梁で飛ばすか、1,365mmの片持ちで受けるか。。。サザエさんの映像を探すとこの部分には柱がある画像を見つけましたので柱を建てる事としました。

縁側.jpg

 浪平・舟の部屋と客間の間も4本引きの襖となっているので柱を建てられません。屋根梁はX方向に流す形になるので、この部分の梁も若干、きつくなるでしょう。

【POINT】
・モジュールに合わせ、建物の角、壁の交差部及び端部及び開口部の際には柱を配置する。
・壁内においては柱を1820mm以内で配置をする。
・壁位置に合わせ、梁を配置する。
・屋根形状を考え、小屋束の位置に梁を配置する。


壁量計算


 次に(46条)壁量計算を行います。最終的には構造計算で決定しますが、構造計算プログラム入力の仮定として、壁配置を仮に決めます。

床面積 :108.1u
見付面積:X方向 23.25u
     Y方向 49.45u

 屋根は瓦葺(重い屋根)ですので、床面積に対する壁率は15cm/u、東京都世田谷区は暴風地域ではないので見付面積に対する壁率は50m/uであり、必要壁量は以下になります。

(必要壁量)
X方向:16.21m
Y方向:24.73m

必要壁量計算書



 外壁は合板耐力壁(2.5倍)としますので、まず、耐力壁となる外壁部分の壁量を計算します。壁量を合計すると以下になります。外壁部分だけで壁量が足りてしまう結果になってしまいました。平屋だとこんなものでしょう。
 Y方向については耐力壁壁線間隔がやや大きいので内部に筋交い耐力壁(4.0倍)を1箇所配置しました。

(存在壁量)
X方向:22.75m
Y方向:43.68m

≪耐力壁配置≫
耐力壁配置サザエ.png

 磯野家は玄関が東側であり、西側に耐力壁が偏っている状態になっています。平面的バランスについては構造計算で確認することとします。

【POINT】
・外壁の開口以外の部分はモジュールに合わせ、原則全て構造用合板による耐力壁を設ける。
・建物内部の耐力壁は筋交いを使用し、構造用合板による耐力壁は設けないものとする。
・耐力壁線が8m以内となるように耐力壁を配置する。



 次回からはいよいよ構造計算プログラムKIZUKURIによる構造計算となります。
タグ:木造
posted by 建築構造設計べんりねっと at 10:20| Comment(0) | TrackBack(0) | レポート