2021年、日本で最も大きかったイベントは東京オリンピックです。この影響か、今年も3/4は緊急事態宣言下となりました。経済界ではSDG's、脱炭素、DXの推進がキーワードとなりました。
設計図書の押印廃止、四号特例の縮小
コロナウイルスは建築行政にも影響を与えました。緊急事態宣言が続き、建築設計においても在宅勤務が定着しました。
このような状況下、2020年の年末、12月23日に官報にて、建築基準法施行規則の改正で公示され、1月1日より、確認申請図書における押印廃止が施行されました。そして、9月1日に建築士法が改正され、確認申請における構造設計図書は完全に押印が不要となりました。
2021年における建築行政の動きとしては12月9日、国土交通省からパブリックコメントが出され、四号特例の縮小が事実上、決定しました。
鋼材価格高騰、ウッドショック
2021年の年初より、鋼材価格が上がり始めました。1月に78,000円/tが12月には109,000円/tと約1.4倍になりました。
世界各国における経済活動の再開に伴う原材料の高騰、日本製鉄を代表とする鋼材メーカーの戦略が影響をしています。

そして、ウッドショックです。4月に60,000円/㎥が12月には2倍となる120,000円/㎥となりました。

この材料価格の高騰は建設費に大きな影響を与えます。今のところ、住宅着工数は増加しており、我々構造設計者の仕事も安定していますが、今後の雲行きは怪しいものがあります。
SDG's、脱炭素が構造設計業界に与えた影響
経済界ではSDG's、脱炭素の推進がキーワードとなりました。脱炭素は構造設計業界にも少なからず、影響を与え、中高層の木造建築が増えました。
現在、着工されている木造ハイブリッドではない純木造で日本最大規模は大林組が手掛けている11階建てです。

日本構造デザイン賞においても、島村高平氏の「大成建設技術センター風のラボ(CLT構造)」、坂田涼太郎氏の「土佐文化複合施設(木造ハイブリッド)」と木質構造の作品が受賞しています。
しかしながら、問題はRC造よりも高くなるコスト。これがウッドショックにより、更に逆風となっています。
その他、構造設計業界の出来事
・渡辺邦夫氏が逝去
4月9日、渡辺邦夫氏(享年81歳)がお亡くなりになりました。渡辺邦夫氏は“構造デザイン”と言う言葉を最初に使い始めた構造家です。一つの時代が終わりました。
・構造設計一級建築士の試験制度の変更
令和3年度より、構造設計一級建築士の試験制度が変更となりました。構造設計一級建築士制度が出来て、13年が経ち、試験対策が確立された事に対し、記述式を増やし、より構造設計に関する知見を問う形になりました。
・構造設計職が仕事に対する満足度調査で第一位に
構造設計者にとっては嬉しいニュース。11月、転職サービス「doda」がビジネスパーソン1万5000人を対象に実施した仕事に対する満足度調査で構造設計職が第一位になりました。
相変わらずの不祥事も。。。
・8月、ハイスピードコーポレーション、地盤調査データ偽造
・12月、国土交通省が建設工事受注動態統計を書き換え