2021年05月26日

構造設計者は大学院の時に一級建築士を取るべき!

 昨年度より建築士の受験制度が変更になり、実務経験を経てなくとも試験を受けられるようになりました。
 今までだと、就職して2年間の実務経験を経て、3年目に受験でしたが、就職・入社と同時に受験が出来るようになりました。実際にそのような若者も多く居ます。
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 そして、入社直後より資格取得が優先され、そののために多くの時間を割くことになります。上司、先輩社員も与える仕事を少なくするなど協力してくれるでしょう。
 資格はもちろん大切です。なくてはなりません。

しかし、どうなのでしょうか?





 構造設計者としてスタートする大事な時期が資格取得のため、構造設計にかける時間、情熱を取られてしまってないでしょうか。
 大学、大学院で勉強もしてきたと思いますが、やはり、実務として覚えなくてはならない事もたくさんあります。分からない事の方が多いでしょう。上司、先輩社員も一人前になってもらいたいと思い、多くのことを教えたいと思っています。

 はっきり言って、構造設計は会社に来て、仕事をこなしていれば出来るようになるものではありません。業務時間以外での勉強が必要不可欠です。技術基準解説書、代表的な建築学会指針などは自分で購入し、隅から隅まで読むことが必要です。

 建築士受験制度の変更により、このような事が出来なくなっています。

 もっと、怖いのは資格取得が優先され、構造設計に対する情熱がなくなってしまうことです。早く一人で構造設計がしたい、もっと難しい設計に取り組んでみたいと考えるのが普通と思いますが、建築士資格の勉強がしたいので残業したくない、なので仕事を多く与えられたくないとなっていないでしょうか。本人がそう思っていなくても廻りがそのように接することもあります。



 見事、一発合格すれば、まだ良いですが2年、3年がこのような状況だとどうなるでしょうか?

 建築士になったが構造設計者ではないです。

 今は構造設計で就職するには大学院卒が必須です。そして、学部を卒業すれば建築士を受けられます。だったら、就職前に建築士取得は済ましておいた方が良いでしょう。



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2021年05月19日

地球温暖化対策、木造の推進は負の遺産にならないか?

 地球温暖化対策として木造が推進されています。CLT工法など新しい工法も出てきました。そして、公共建築では積極的に木造が採用されています。

 温室効果ガス削減、カーボンニュートラル、循環化社会の創造。

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 しかし、問題はあります。まずはRCよりも高いと言われるコスト。強度、耐久性は問題ないのだろうか?
 将来に負の遺産を残すことにならないだろうか?

地球温暖化って本当?


 そもそも、地球温暖化、温暖化と温室効果ガスとの関係も科学的に立証されていないらしい。二酸化炭素濃度の増加が地球温暖化の原因ではないと、温暖化はしていないと主張する人も居ます。

地球温暖化に対する懐疑論(ウィキペディア)

 しかし、世界は確実に、この方向に動いています。地球温暖化に対する懐疑論派の主張は環境ビジネスで優位に立ちたい人の思惑があるからだとのこと。

・省エネ性能を唄い、後進メーカーとの差をつける。
・温室効果ガス排出制限を行い、後進国の発展を抑える。
・環境問題を理由にルール変更し、先行する企業に打撃を与える。
(トヨタのハイブリッド技術を追い落としたいEV車メーカー)
・環境ビジネスを株価を上げ、利益を得たい投資家。

 この流されて、木造を推進して良いのだろうか?

住友林業W350計画も木部材を交換する計画


 木造の耐久性について考えてみる。中規模、大規模建築となると耐久性、計画共用期間も長いものが要求されます。これら木造建築の耐久性はどうなのだろうか?

 「法隆寺五重塔は1300年以上も立っている。木造は耐久性上、問題ない。」などと言う人が居ますが、現在の建築物とは木材が晒されている環境が違うので比べるものではないでしょう。

 税務上の減価償却期間を決めるための法定耐用年数としては木造は22年となっており、RC造の47年よりも短くなっています。もちろん、これが建物の耐用年数ではないが、RC造よりも短いのは間違いない。

 構造体の寿命とは構造材料が劣化し、耐力・強度を失った時点です。木材の劣化としては虫害(シロアリ)、腐食および化学的な劣化です。

 虫害(シロアリ)の対策としては防蟻処理を行いますが、これは永久に効果があるものではなく、メンテナンスが必要です。

 腐食は腐朽菌が木材に繁殖することで発生します。木材腐朽菌にとって生育に適した環境とは、適当な水分と温度、栄養となる有機物と酸素がそろっていることです。通常の状態では木材が腐食することはありませんが、漏水、結露などで腐食が発生します。現在の木造建築はプラスターボードなどによる防火被覆材があり、高気密となっている事が木材が水分を蓄える原因となります。漏水を完全に止めると言うのも現実には難しいことでしょう。
 これについても定期的な点検、メンテナンスにより、ある程度は防げますが、現実、そこまで建物が点検されている事はありません。

 木材のもう一つの劣化として、紫外線による化学的な劣化があります。これはリグニンという物質が化学変化により分解されることにより、耐久性が低下する現象です。「素材を生かしたい。」などと木材が日射を直接受けるような状態すると耐久性上、悪影響があります。

 さて、木造建築の本当の耐用年数ですが、これはそれぞれの建築物の環境によるため、一概に何年とは言えないでしょうが




 住友林業が350周年を迎える2041年を目標に高さ350mの木造超高層建築物を実現する構想W350計画を発表しましたが、この計画では使用する木部材を将来的に交換できる計画としています。
 これは木材に精通している会社がそこまでの耐久性は期待できないと判断しているからでしょう。

【住友林業 W350計画】
 住友林業は8日、高さ350メートルの木造超高層建築物の実現を目指す新たな事業構想を明らかにした。付属研究機関の筑波研究所が中心となり、木造超高層建築の実用化に必要な建築構法や環境配慮技術、使用部材などを検討する。木材と鋼材を組み合わせた柱・梁などを活用し、同社が創業350周年を迎える2041年までに木造超高層建築を具現化する。設計協力を日建設計が手掛ける。総工費は6000億円と試算している。
 同構想は「W350計画」。18万5000立方メートルもの木材を使った超高層建築物の実現を目指す。建物に使った木材は、一定期間を経た後、一部を取り換えてメンテナンスを施す。除去した木材は住宅用の柱や梁などに再加工・利用したり、新たな木質建材の原料にしたりして循環利用する。
 建物には、9割の木材と1割の鋼材で構成する「木鋼ハイブリッド構造」を採用。柱・梁とブレースで筒形の殻(ブレースチューブ)を構成する構造システムを取り入れる。柱や梁などで組まれた軸組みに、対角線状にブレースを配備し、地震や風など横から加わる力で建物が変形するのを防ぐ。
 施設の高さは350メートルで、施設規模は地上70階建て延べ45万5000平方メートル。完成後は店舗やオフィス・ホテル、住宅などが入る。
 国内では、手入れが行き届かず放置され、荒廃した森林が多く存在している。計画が実現すれば、木材の再利用や林業の活性化など多くのメリットが期待できる。


 このように考えると現在、推進している木造建築はRC造よりも早い段階で建て替えが必要となってしまうと言うことです。税金で建てられる公共建築がRC造よりも高い木造で建てられ、耐久性も低いと言うのはどうなのでしょうか。

林業の活性化が目的であれば違う施策も


 日本が木造を推進する理由の一つとして、林業の活性化があります。これは国土保全の観点からも取り組まないとならないのでしょう。

 日本で建築される建物の75%は木造です。そして、80%弱が4号建築です。国産木材の使用が目的であれば、数の少ない中規模、大規模建築を木造とするよりも鉄骨住宅を木造化した方が効果的です。





 尚、補足ですが、循環化社会を目指すのであれば石油、石炭の化石燃料も元は生物です。これを使用することは循環されていることにならいのだろうか。

 あと、住友林業のW350計画は、あくまで計画・構想なのですよね。それも2041年となっているので20年後です。建設地も『東京都内(千代田区丸の内に設定)』まだ、土地を購入したわけでもなく、あくまで設定です。「前田建設ファンタジー営業部のマジンガーZ格納庫を作る」と同じレベルです。

タグ:木造
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2021年05月10日

“10億階建ての建物” 外力設定は?

 YouTubeで面白い動画を見つけました。

“10億階建ての建物”を建造したらどうなるのか


 外力設定、クライテリアが気になる。。。

 単に地震力だけではないはず。地球の自転による慣性力も作用するのか。。





posted by 建築構造設計べんりねっと at 21:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 建築関連動画