VEとは、「Value Engineering(バリューエンジニアリング)」の略で、性能や価値を下げずにコストを抑えること。
CDとは、「Cost Down(コストダウン)」の略で、性能、価値が低下しても良いことを前提として、コストを下げる変更を行うこと。

さて、実際はどうでしょう?正しい意味でVE、CDが使われていますでしょうか?事例を考えてみます。
CD案は性能、仕様を下げても良いのが前提なので、事例を上げるのは簡単です。
・耐震等級2で計画していたが、予算がオーバーした為、耐震等級1に変更した。
・設計基準で「望ましい」との表現になっている基準の準拠をやめる。
では、VEは?
構造に関するVEとして、考えられるのは、施工者側からの施工方法に関する変更提案や製品、資材の変更提案があります。
・うちの会社では、この施工方法の方が得意であり、コストが下がります。
・うちの会社では、こちらのメーカーの製品の方が安く入手出来ますのでコストが下がります。
では、構造設計段階でのVEとは、どのようなケースがあるだろうか?
構造設計者が自分の設計、他者の設計に対し、性能、仕様を下げずにコストを下げる事は可能だろうか?それぞれの構造設計者の考えによるが、何らかの性能、仕様(安全率)を下げることになる。
あるとすれば、明らかな無駄に対する変更のみであろう。
意匠計画への変更提案により、コストを下げる方法も考えられるが、これも性能、仕様の低下か、明らかな無断が存在すると思われる。
実際のVE、CDの使い分けは以下であろう。
1.ゼネコンが行うVE、CD。
CD(コストダウン)案は請負金額を下げることに繋がる。一方、VE案は性能、仕様を下げないとの前提で、実は仕様を下げ、コストを下げている事が多い。仕様 、性能が上がる変更提案をVEとして行う事もあるが、請負金額を下げない提案であることが絶対である。
2.計画、設計段階のVE、CD。
CDは構造設計者自らが仕様、性能を下げる提案を行うこと。
VEは、構造設計を行った事務所と別の事務所が無駄な設計の排除と性能、仕様を下げる提案、検討を行うこと。つまり、自分の設計に対してはVEとは言わない。
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