例えば、1m×1mの柱が部屋の中に1本増えると部屋の有効な面積は1u減ることになります。もちろん、部屋の専有面積は壁芯で算定されますが、不動産屋さんも馬鹿ではないので、有効な面積で不動産価値が評価されます。
神奈川県横浜市の以下のマンションで考えてみます。
専有面積:71u、販売価格:4,500万円

現状、柱は部屋の四隅のみですが、Y方向の中央に各スパン1本ずつの1m×1m(面積:1u)の柱が必要になったとすると部屋の有効な面積は1.4%減る事になります。一部屋当たり63万円の価値が下がります。
1.0-70u/71u=1.4%
4,500万円×1.4%=63万円
つまり、売上が1.4%減る事になるので、同じ利益を上げるには、その分、コスト(原価)が下がらないとなりません。面積当たりにすると約9,000円/u(30,000円/坪)です。
前回、躯体(上部構造)の価格(原価)が約170,000円/坪と説明しましたので、約18%の原価削減が必要です。
構造で柱を追加する事でコストが下がっても、躯体費を18%も下げることは困難です。
東京都新宿区のオフィスビルで同じ計算をしてみます。月額の賃料は30,000円/坪程度です。
上記のマンションと同じ広さを考えると月当たり約64万円です。30年間の運用を考えると2億3,000万円です。この1.4%とすると320万円(150,000円/坪)
骨(構造)を全部無くせのレベルです。
もちろん、構造が安全であることが大前提であり、構造を成立させるために柱の追加が必要であれば、構造設計者は自信を持って、程度すべきです。
ですが、柱1本分には、これだけの価値がある事を構造設計者は認識すべきです。もちろん、そうならないように意匠設計者も考え、プランを作るべきです。
なんか、不動産屋さんだけが喜ぶ内容でしたね。
P投げ銭!