2019年10月18日

構造の経済設計の基本「構造躯体の価格を知る」

 以前、「構造設計の裏技」なるページを書いていましたが、構造の経済設計手法について、研究、紹介しようと思います。

経済設計に長けた構造設計者になるには、まず、構造躯体に関わる単価を把握し、また、それが建物全体に対して、どのくらい影響するのかを知る事です。

・代表的な構造材料の単価
・代表的な躯体工事の単価
・各構造材料の歩掛
・建物全体の概算坪単価

建築資材、労務の単価は建設ナビと言うサイトで調べる事が出来ます。

構造材料、工事費の単価については、合わせた単価(材工)で考えます。
数ヶ月に一度、単価を確認する程度で良いです。積算をしてる訳ではないので概算で十分。


・コンクリート
   : 14,920円/m3(材料 14,000 + 打設手間920)
・鉄筋: 12,100円/t(材料70,000 + 加工組立51,000)
・型枠: 4,900円/m2
・鉄骨;175,200円/t(材料85,000 + 加工80,000 + 建方10,200)

※2019年9月10日現在 対象地区:東京

このくらい判れば、各部の金額は電卓で簡単に出せます。

尚、建設ナビ他の市場単価動向の価格は基準としている材料の価格です。コンクリートはFc18、鉄筋はSD295AのD16、鉄骨はSS400のH-200×100です。「今、鉄筋はいくら?」との会話はこの材料を基にしています。

次に各材料強度の違いによる単価を把握します。
コンクリート強度を上げるべきか、断面を上げるべきか。鉄筋はSD345とSD390のどちらにするか。断面算定をする上で私達が考えるところです。

以下のリンクに覚えておきたい価格の一覧をまとめました。

【主要構造材料、工事費単価 主要構造材料、工事費単価 】




さて、各部の価格は簡単に計算出来ますが、例えば、コンクリート強度を変えた場合の価格差などはその階全体に影響するため、数量を算出するのが困難です。

そんな時は歩掛を使います。
そもそも、私達は積算業者ではなく、構造設計者です。そんな時間は無駄です。概算でいいんです。

【主要構造数量の歩掛】
歩掛.png

さて、各部の価格は簡単に計算出来ますが、総工費5億円(原価)の建物で「5万円安くなります。」では嬉しくありません。0.01%です。その価格がどの程度の影響になるのかを理解する必要があります。
建物全体の総工費の平均の坪単価は以下になります。

坪単価.png
※1坪=約3.3u

 そして、大事なのはコスト感覚です。総工費5億円(原価)の建物で500万円安くなりました。比率として、1%です。構造計算では、1%は誤差程度ですが、建物の価格としては大きな差があります。売れる金額は決まっていると考えるとその分は利益になります。また、販売価格(経費10%、粗利率20%)としては700万円弱になります。借入をする事を考えると1000万円以上の差が出る事になります。この1%の影響は大きいのです。
 この建物規模で構造設計料は通常200万円程度です。300万円払っても、500万円下げてくれるなら、誰だって、その構造設計事務所に依頼したいですよね。

≪まとめ≫
●経済設計の基本は構造躯体の単価を知ること。
●そして、コスト感覚を持つこと。



≪参考サイト≫
建設ナビ
https://www.kensetu-navi.com/

鉄鋼新聞
https://www.japanmetaldaily.com/

マンションの建築費は坪単価でどの程度の水準か?【2019年版】
https://archi-book.com/news/detail/236

S造・鉄骨工事の単価を専門業者が教えます!ゼネコンの積算部は必見
https://kimagureneko0411.com/tekkotukouji-tanka/

大阪建設業協会
https://www.o-wave.or.jp/public/profile/publish/o-wave.html

建築コスト管理システム研究所
https://www.ribc.or.jp/research/pdf/annual/h20/jisyu/jisyu04.pdf

P投げ銭!
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2019年10月16日

構造設計事務所の年間売上、社員の年収って、どのくらい?

 構造設計事務所の年間の売上高を調査してみました。調査方法は、リクナビ等の求人サイトの会社概要データに記載されている売上高の集計です。
 事務所名は表記していませんが、どこも純粋な構造設計専業の事務所です。

売上高.png

社員数平均30人の構造設計事務所の年間売上高は3億円弱、一人当たり1千万円弱


社員数30人と言うと比較的に大きい構造設計事務所にはなると思いますが、10数人規模で集計しても同じ程度です。




さて、この金額を大きいと思うか?、小さいと思うか?

もちろん、売上高なので利益ではありませんが、構造設計事務所は仕入れや外部委託はありませんので
経費は他の業種に比べ、大きくありません。一般の会社と同じ事務所賃料、光熱費等を除くと印刷代、
文房具、各種プログラムの保守管理料くらい。

ざっと、経費を計算してみます。
・事務所家賃 1,000,000円×12か月    = 12,000,000円
・光熱費等   250,000円×12か月    = 3,000,000円
・社会保険等  400,000円×30人     = 12,000,000円
・その他経費  100,000円×30人×12か月 = 36,000,000円
・法人税等  10,00,000円        = 10,000,000円

合 計                  25,300,000円

社員の給与を除いた経費は、2,500万円程度。

では、社員の給与はどのくらい払えるか?

会社利益を2000万円とし、売上高の3億円から、経費、利益を引くと残りは、2億5千5百万円。
社員数で割ると一人当たりの年収です。

なんと構造設計事務所の平均年収は、850万円になります!

日本の平均年収441万円の2倍近くになるではないか!平均なので、ベテランになると1000万円以上になるはず。

ここまでの年収がないとすると社長が儲け過ぎ?だとすると自分で構造事務所を作るのが一番だ。


何か、計算違ってますかね。。。


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2019年10月12日

実際にあった建築構造の笑えない話

私が聞いた過去に実際にあったことです。住宅メーカー、不動産会社の営業マンの笑えない営業トーク。
営業.jpg

平成27年、30年、免震装置、制振ダンパー性能偽装事件を受けて
「安心して下さい。弊社のマンションは、免震でも制振構造でもない耐震構造なので、地震に強いです。」

ん、耐震構造の方が強い?免震、制振より?


土石流被害のニュースを受けて
「土石流を受けても、建物が被害を受けないように1階には壁がない構造となっています。土石流が柱と柱の間を抜けていきますので安心です。」

ピロティになってるやんけ!土石流には強くなっても、地震に弱くなってる。






平成30年、大和ハウスの大臣認定不適合事件を受けて
「安心して、下さい!うちの建物は国土交通大臣ではなく、もっと厳しい民間会社の確認申請を受けてますから!」

大臣認定、性能評価の方が審査が厳しいと思うが。


平成27年、旭化成建材、杭施工データ偽装事件を受けて
客:「建物が沈んで傾いてるようなんだけど」
住宅メーカー営業マン:「確かに沈んでますね。でも、安心して下さい。ニュースになってる旭化成のような杭は打ってませんので」
客:「原因は?」
住宅メーカー営業マン:「悪いのは地盤ですね。」
客:「そうか、うちの土地の地盤が悪かったのか。」

そんな言い訳が通用するのか?悪いのは設計では。


平成23年、東日本大震災を受けて。東京、震度5
客:「建物にヒビが入ってるのだけど、原因はなにかしら?」
設計担当:「調べましたが、原因は地震ですね。でも、安心して下さい。直りますので。直ぐに見積りを持ってきます。」

そんな言い訳が通用するのか?地震で壊れないようにするのが設計では?震度5程度では。


平成17年、構造計算書偽造事件(耐震偽装事件)を受けて
「安心して、下さい!弊社の住宅は、構造計算をしていませんから、偽造はありますん。」

本当に笑えない。。。。




もっと、笑えない話。
友人:「中古マンションを買おうと思ってるのだけど。いわく付きのマンションで耐震強度が低いと言うらしいのだけど、大丈夫かな?」
私:「図面と計算書を見てみないと分からないけど、やめといたら。」


何らかの原因で耐震強度不足が発覚したが、取り壊しは逃れている。そんなマンションが流通しているらしい。

P投げ銭!
posted by 建築構造設計べんりねっと at 10:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記